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チームみらい「まる見え政治資金」を起動して収支報告書XMLを出したら、支出総額から人件費が抜けていた

「95%以上をLLMが実装」と公開されたチームみらいのOSS「みらい まる見え政治資金」を手元で起動し、管理画面から政治資金収支報告書のXMLを書き出した。収支総括表の支出総額に人件費が入らず内訳総括表と25万円ずれる、5万円未満の交付金支出がフラグを立てても落ちる、党費が0のまま。公開ページ・管理画面・XML・コードのキャプチャつき。

ラボ2026年3月16日公開最終更新 2026年8月31日
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この記事のポイント

「95%以上をLLMが実装」と公開されたチームみらいのOSS「みらい まる見え政治資金」を手元で起動し、管理画面から政治資金収支報告書のXMLを書き出した。収支総括表の支出総額に人件費が入らず内訳総括表と25万円ずれる、5万円未満の交付金支出がフラグを立てても落ちる、党費が0のまま。公開ページ・管理画面・XML・コードのキャプチャつき。

チームみらいが2025年10月に公開した「みらい まる見え政治資金」(team-mirai/marumie)は、政党のお金の出入りをサンキー図で公開する画面と、政治資金収支報告書のXMLを書き出す管理画面からなるオープンソースです。開発した永田町エンジニアチームの伊藤淳氏は「95%以上のコードをLLMが実装」「約45日でリリース」と説明しています。それから10か月で、コミットは2,479件、テストを除くTypeScriptは約4万行、スターは697。

公開ページを見て、2026年8月25日の main を手元で起動して管理画面から収支報告書のXMLを書き出し、該当するコードを読みました。法定の数字がブレるバグが3つありました。収支総括表の支出総額に人件費が入らない、5万円未満の交付金支出が様式その16から落ちる、党費がXMLでは0のまま。

お断り。筆者はフリーランスのエンジニアで、法律や会計の専門家ではありません。公開されているソースコードと公開ページを読み、リポジトリ同梱のサンプルデータで動かした結果を書いています。チームみらいや開発チームを批判・糾弾する意図はありません。事実誤認があればフッターのお問い合わせから知らせてください。すぐに直します。

公開ページの更新は7月14日で止まっている。人件費は支出の13%

みらい まる見え政治資金の2025年ページ上部。収入総額3億3433万円、支出総額1億8380万円、右上に2026.7.14時点の表示
「みらい まる見え政治資金」政党・チームみらい 2025年(marumie.team-mir.ai/o/team-mirai/2025・2026年8月31日取得)。赤枠と注釈は筆者

2025年の公開ページ。収入3億3433万円、支出1億8380万円。会計ソフトからのCSV取り込みが手作業で、更新は「現状不定期」と自分で書いてあります。2026年8月31日に開いても7月14日のままでした。

同ページのサンキー図の下側。経常経費の内訳に人件費13%のノードが表示されている
同ページのサンキー図の下側(2026年8月31日取得)。赤枠と注釈は筆者。経常経費の内訳に「人件費 13%」

サンキー図を下までたどると、経常経費の中に人件費13%。金額にしておよそ2,400万円で、あとで効いてくる数字です。

法律上の区分タブを選んだ状態のサンキー図。選挙関係費21%、宣伝費14%など収支報告書の費目名で表示される
「法律上の区分」タブを選んだ状態(2026年8月31日取得)。赤枠と注釈は筆者。選挙関係費・宣伝費・組織活動費など、収支報告書の様式にある費目名で表示される

手元で起動して、管理画面からXMLを書き出した

コードを読むだけだと「本当にそうなるのか」が残るので、コミット 61572cf3 をクローンして pnpm dev で起動しました。データはリポジトリ同梱のシード(架空の「サンプル党」、2025年の取引60件)に、筆者が1件だけ足しています。光熱水費3万円、交付金フラグON。5万円未満の交付金支出がどうなるかを見るためです。

ローカルで起動した管理画面のトップ。左のメニューに取引一覧、CSVアップロード、残高登録、取引先マスタ、寄付者マスタ、報告書エクスポートが並ぶ
管理画面(admin)のトップ。コミット 61572cf3 を筆者のPCで起動したもの(2026年8月31日)。左のメニューが、CSVを取り込んで報告書を出すまでの作業の並び
管理画面の取引一覧。サンプル党の2025年の取引60件が、取引No・日付・借方勘定科目・金額・カテゴリ・摘要の列で表示されている
取引一覧。リポジトリ同梱のシードデータ「サンプル党」の2025年分60件。会計ソフトのCSVを取り込むとここに並ぶ
取引一覧の中の、筆者が追加した光熱水費30,000円の行
筆者が追加した1件(T2025-0099、光熱水費 ¥30,000、交付金フラグON)。赤枠と注釈は筆者
取引先紐付け管理画面。各取引の行に交付金のトグルスイッチがある
取引先紐付け管理。行ごとに「交付金」のトグルがあり、ONにした取引が様式その16(本部・支部に対する交付金の支出)に出る。赤枠と注釈は筆者
報告書エクスポートの表形式プレビュー。収支総括表の支出総額が3,491,000円
報告書エクスポート画面の表形式プレビュー、収支総括表(SYUUSHI07_02)。赤枠と注釈は筆者

報告書エクスポート画面には表形式プレビューとXMLプレビューがあり、「XMLをダウンロード」で総務省の様式に沿ったXMLが落ちてきます。ここから先は、そのXMLの中身です。

同じXMLの中で、支出の合計が25万円ずれる

XMLプレビューの収支総括表部分。SISYUTU_SGKが3491000、KOJIN_FUTAN_KGKが0
同じ画面のXMLプレビュー、様式その2(収支総括表)。赤枠と注釈は筆者
XMLプレビューの様式その13部分。JINKENHI_GKが250000、KEIHI_SKEI_GKが1038000
XMLプレビュー、様式その13(支出項目別金額の内訳・総括表)。赤枠と注釈は筆者

収支総括表(その2)の支出総額は3,491,000円。内訳総括表(その13)は経常経費小計1,038,000円+政治活動費小計2,703,000円で3,741,000円。差は250,000円、シードデータの人件費とぴったり同じです。その13には人件費が載っていて、その2の合計には入っていない。翌年繰越額も、そのぶん多く出ます。

同じ4つの箱(人件費・光熱水費・備品費・事務所費)から2枚の集計表を作る手描き図。内訳の表は4つの合計、総括表は人件費が入らず3つの合計になり、2枚の合計が食い違う
同じ仕訳から2枚の表を作るのに、片方の合計にだけ人件費が入らない(筆者作図)
report-data.ts の getSummary。経常経費の合算式が光熱水費・備品消耗品費・事務所費の3つだけで、人件費が含まれていない
GitHub team-mirai/marumie(コミット 61572cf3・2026年8月25日)の admin/…/report/domain/models/report-data.ts 433〜436行目と453行目。赤枠と注釈は筆者
expense-summary.ts の fromExpenseData。112行目で人件費を取り、125行目の経常経費小計に足している
GitHub team-mirai/marumie(コミット 61572cf3・2026年8月25日)の admin/…/report/domain/models/expense-summary.ts 112行目と125行目。赤枠と注釈は筆者

「人件費は明細を書かなくていい費目だから、総額にも入らないのでは」と思った人のために。政治資金規正法第12条第1項第2号は「すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額」を求め、人件費や光熱水費が除かれるのは、そのあとに続く「支出を受けた者の氏名及び住所」を書く明細のほうです。手引きも経常経費は「総額を記載し、領収書は不要」。総務省が配っている収支報告書作成ソフト(Excel)では、その2の支出総額はその13を参照する数式で、その13の経常経費小計には人件費が入ります。marumie 自身も、その13では人件費を足しています。

総務省の収支報告書作成ソフトのVBAコード。その2の支出総額(SISYUTU_SGK)は、その13を参照する数式であるとコメントされている
GitHub team-mirai/marumie(コミット 61572cf3・2026年8月25日)に同梱された総務省「収支報告書作成ソフト」のVBA、docs/reference/reference_syushi-soft-vba-code.txt 13855〜13858行目。赤枠と注釈は筆者

原因はこの2か所。report-data.ts の経常経費の合算式に人件費が無く、expense-summary.ts にはある。report-data.ts は2025年12月30日から変わっていません。テストは人件費を全部0円にしたケースしか無く、1円でも入れていれば落ちていました。

5万円未満の交付金支出は、フラグを立てても様式その16に出ない

XMLプレビューの様式その16部分。KINGAKU_GKが750000で、明細は4行
XMLプレビュー、様式その16(本部又は支部に対する交付金の支出)。赤枠と注釈は筆者

政党の本部と支部の間の交付金は、政治資金規正法第18条第4項で金額に関係なく全件記載です。筆者が足した3万円の行は、取引一覧には載り、フラグも立っているのに、様式その16には出てきません。

grant-expenditure.ts の fromExpenseSections。閾値で絞った後の rows から koufukin === 1 の行だけを拾っている
GitHub team-mirai/marumie(コミット 61572cf3・2026年8月25日)の admin/…/report/domain/models/grant-expenditure.ts 99行目。赤枠と注釈は筆者

「5万円以上の取引だけを明細行にする」処理が先に走り、そのあとで交付金フラグを拾うからです。4月の PR #1192 で閾値が10万円から5万円に変わりましたが、順序はそのままです。

党費はXMLでは0のまま

上のその2のキャプチャで KOJIN_FUTAN_KGK(個人の負担する党費又は会費)が0になっているのがそれです。コードでは kojinFutanKgk: null, // スコープ外 と固定され、本年収入額の式にも党費は登場しません。6月の PR #1209 で公開ページの党費は独立したノードになりましたが、XML側は触られていません。公開ページでは党費5%、XMLでは0円。

公開から10か月。認証の穴とステージングは直り、監視と通し試験は無い

リポジトリは動いています。2026年に入ってからだけでも、認証チェックがURLの拡張子で抜けられた穴の修正(#1221)、ステージング環境と手動の本番デプロイ(#1232〜#1236)、未払金などの科目の扱い(#1208〜#1212)、年度切り替えのURL(#1157〜#1162)、外部コントリビュータによるアクセシビリティ改善(#1216、#1223、#1224)。一方で、Sentryのような監視、Rate Limit、CSV取り込みからXMLまでの通し試験はありません。上の3つに触れたコミットも、報告する Issue もありません。report-data.ts の最終更新は2025年12月30日です。

6月10日に安野代表の依頼で起票された Issue #1206 は、他党へ広げるために複式簿記から単式簿記へ主要仕様を変えるかの意思決定です。設計文書のスコープは「2025年のチームみらいに該当する取引」で切られていて、パーティー収入や党費のように自党に無い項目は後回しになっています。他党が使えば、そこが空白になります。

収支報告書の提出は5月末まで、公表は11月末。提出の事実は確認できない

docs/scope-by-2026Jan.md の冒頭。目的の欄に、2026年3月末にチームみらいが政治資金報告書を提出する際に本アプリケーションを使用できるようにする、と書かれている
GitHub team-mirai/marumie(コミット 61572cf3・2026年8月25日)の docs/scope-by-2026Jan.md。赤枠と注釈は筆者

総務大臣に届け出ている政党は、前年分の収支報告書を5月末までに出します(1〜3月に衆院選があった年は1か月延びます。2026年は2月8日にありました)。総務省の定期公表は例年11月末なので、2025年分が見られるのは2026年11月末ごろです。

チームみらいがこの画面から出したのか、出したとして人件費の抜けた数字のまま出したのかは、今の公開情報では分かりません。リポジトリ、Issue、公式noteに「提出した」という記述は見つかりませんでした。2025年の人件費は支出の13%、約2,400万円。その2とその13を並べれば食い違いは見えるし、繰越額が口座残高と2,400万円ずれれば会計担当は気づくはずです。11月末に公表されたら、公開ページの数字と総括表を並べて、この記事を更新します。

人件費を含むテストケースがゼロで、報告する Issue もゼロだった

閾値の判定、寄附者ごとの年間合計、XMLのタグ構造。条文を読んで書き起こす部分は正確で、自分が同じ45日で書いたらもっと間違えたと思います。それでも3つが残っている理由は2つとも単純です。人件費を含むテストが1本も無いこと。誰も Issue を立てていないこと。後者は自分も同じだったので、この記事を書いたあとで Issue #1247(人件費)と #1248(交付金)を立て、人件費のほうは PR #1249 を出しました。

コミット2,479件のうち1,955件が伊藤淳氏本人、211件が Devin、69件が Claude。実質ひとりと2つのエージェントで4万行を回しています。人件費を含むテストを1本足すのが上の PR です。

参照元・注記

コードの引用と行番号は team-mirai/marumie のコミット 61572cf3(2026年8月25日)。管理画面とXMLのキャプチャは、同じコミットを筆者のPCで pnpm dev により起動し、リポジトリ同梱のシードデータ(架空の「サンプル党」)に光熱水費3万円・交付金フラグONの取引を1件追加した状態で、2026年8月31日に取得したものです。ログインには docs/getting-started.md に記載のテスト用アカウントを使いました。公開ページのキャプチャも同日取得。赤枠・矢印・注釈はすべて筆者が付けています。

更新履歴

  • 2026年8月31日: 本家リポジトリに Issue #1247・#1248 と PR #1249 を出した旨を追記。
  • 2026年8月31日: 本家リポジトリに Issue #1247・#1248 と PR #1249 を提出した旨を追記。
  • 2026年8月31日: 全面改稿。2026年8月25日の main を手元で起動し、管理画面から書き出したXMLと画面のキャプチャで3点を確認。
  • 2026年3月16日: 初版。
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