ANAグループの海外向け通販が12日停止、何が漏れたか未公表
ANAグループの株式会社OCSが運営する海外在住者向け通販「OCS FAMILY LINK SERVICE」が、サイバー攻撃を受けて7月23日から止まっています。8月5日時点でサイトは応答せず、漏れた可能性のある情報の項目も件数も公表されていません。海外で日本の食品や日用品を頼っていた人が、12日間使えない状態です。
目次
ANAグループの株式会社OCSが運営する海外在住者向け通販「OCS FAMILY LINK SERVICE」が、サイバー攻撃を受けて7月23日から止まっています。8月5日時点でサイトは応答せず、漏れた可能性のある情報の項目も件数も公表されていません。海外で日本の食品や日用品を頼っていた人が、12日間使えない状態です。
海外で暮らす日本人が、日本の食品や日用品を取り寄せるために使っていた通販サイトが、7月23日から止まったままです。ANAグループの株式会社OCSが運営する「OCS FAMILY LINK SERVICE」。原因は外部からのサイバー攻撃で、個人情報が流出した可能性があると同社が公表しています。
当サイトが2026年8月5日に確認したところ、サイトは今も応答しません。停止から12日が経ちましたが、漏れた可能性のある情報の中身も、件数も、どこから入られたかも、いっさい公表されていません。同社が最後に出した説明は7月24日の第2報で、そこから更新されていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | OCS FAMILY LINK SERVICE (海外在住者向け通販) |
| 運営 | 株式会社OCS (ANAグループ) |
| 停止日 | 2026年7月23日 |
| 原因 | 外部からのサイバー攻撃 (7月24日に公表) |
| 流出の可能性 | あり (項目・件数は未公表) |
| 侵入経路 | 未公表 |
| 最新の説明 | 2026年7月24日(第2報) |
| 8月5日時点 | サイトは応答なし 再開時期の告知もなし |
何が起きたのか、日を追って
公表されている事実だけを並べます。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 7月23日 | 第1報。「システム不具合」として サービスを一時停止 |
| 7月24日 | 第2報。外部からのサイバー攻撃と判明 個人情報流出の可能性を公表 |
| 7月28日 | 専門メディアが報道 |
| 8月5日 | サイトは応答なし 第3報は出ていない |
注目したいのは7月23日と24日の書きぶりの差です。第1報の見出しは「システム不具合に伴うサービス一時停止」。この言い方だと、利用者は「サーバーの調子が悪いのだろう、じきに直る」と受け取ります。
翌日の第2報で、内容が変わりました。同社は「当社の管理運用するサーバに対して外部からサイバー攻撃が行われ、個人情報・データの一部が外部へ流出した可能性がある」と書いています。そして被害拡大を防ぐため、システムと関連ネットワークを緊急遮断したとしています。
見出しは第2報も「システム不具合に伴うサービス一時停止について(第2報)」のままです。タイトルだけを見た人は、中身が「不具合」から「攻撃と情報流出の可能性」に変わったことに気づけません。
このサービスが止まると、誰が困るのか
OCS FAMILY LINK SERVICEは、海外に住む日本人向けの通販です。日本の食品、調味料、日用品、雑誌などを注文すると、住んでいる国まで届きます。運営するOCSはANAグループの国際輸送会社で、このサービスはANAマイレージクラブの提携サービスとしても案内されています。
駐在員とその家族、留学生、海外で長く暮らしている人。現地のスーパーでは手に入らないものを、ここで頼っていた人たちです。子どもの離乳食、常備薬に近い扱いの健康食品、特定の調味料。代わりが利かない品を、月単位の計画で注文している利用者が少なくありません。
12日間、注文できません。注文済みの荷物がどうなったか、次にいつ頼めるのかも、サイトが応答しない以上、確かめようがありません。国内のサービス障害なら「別の店で買えばいい」で済む場面が多いのですが、海外在住者にとって代替の手段は限られます。
そのうえで、自分の登録した情報が漏れたのかどうかも分からない状態が続いています。通販サイトである以上、登録されているのは氏名、日本と現地の住所、電話番号、メールアドレス、注文履歴。決済に関する情報がどう保管されていたかも公表されていません。
公表されていないことを、そのまま並べます
当サイトが確認できた範囲で、まだ明らかにされていない項目を挙げます。憶測は書きません。
✓ 公表されている事実
- ✓外部からのサイバー攻撃を受けた(OCS 第2報)
- ✓個人情報・データの一部が外部へ流出した可能性がある
- ✓システムと関連ネットワークを緊急遮断した
- ✓安全性が確認されるまでサービスを停止する
- ✓問い合わせ先は業務企画部 広報担当(gaffairs@ocs.co.jp)
? 8月5日時点で公表されていないこと
- ?流出した可能性のある情報の項目(氏名・住所・連絡先・注文履歴・決済情報のどれか)
- ?対象となる件数(何人分か)
- ?侵入経路(どこから入られたか)
- ?攻撃の種類(身代金要求型かどうかを含む)
- ?サービス再開の見通し
- ?個人情報保護委員会への報告状況
- ?利用者への個別通知が始まっているか
第2報には「関係する皆さまには個別にご連絡を差し上げる」旨の記載がありますが、それが始まったかどうかの続報は出ていません。
なぜ12日も戻らないのか
運営する側の事情から見ると、この長さ自体は珍しくありません。理由は3つあります。
ひとつめ。侵入経路が特定できるまで、元に戻せません。同じ穴が開いたまま再開すれば、また入られます。サーバーを作り直しても、入口が塞がっていなければ意味がありません。この調査には、外部の専門会社が入るのが通例で、それだけで数週間かかります。
ふたつめ。何が持ち出されたかの確定には、記録の突き合わせが要ります。通信の記録が十分に残っていれば早いのですが、残っていなければ「流出した可能性がある」という表現から先へ進めません。12日経っても項目と件数が出ていないのは、まだそこに到達していないことを示しています。
みっつめ。公表の言葉は、確定した分しか書けません。推測で「氏名と住所が漏れました」と書けば、後で違ったときに二次被害を生みます。逆に少なく見積もって発表し、後から増える形も、信頼を大きく損ないます。慎重になるほど、発表は遅く、短くなります。
ただし、利用者の側から見れば、その事情は待つ理由になりません。12日のあいだ、何も分からないまま、自分の情報が出回っているかもしれない状態に置かれています。「調査中」という一言で埋められる空白には、限度があります。
同じ形の事案は続いています。当サイトでは佐川急便で約7万人分の情報が漏れ、通知メールに別人の名前が出た件や、ニチレイへの不正アクセスがケンタッキー全店の品切れにつながった件を扱いました。不正アクセスの後、システムを切り離した結果どこまでが生き残るのかも整理しています。
利用していた人が、いま取れる手
情報の中身が公表されていない以上、確実な対処は示せません。それでも、先に動いておいて損のないものを挙げます。
まず、このサイトで使っていたパスワードを、他のサービスでも使い回していないか確認してください。使い回していたなら、そちらを変更します。流出したかどうかが分からない以上、これは「念のため」ではなく「先に済ませておく」類の作業です。
次に、登録していたメールアドレス宛に、OCSを名乗る連絡が来ても、書かれたリンクをすぐ踏まないでください。情報流出の後は、その名簿を使って偽の連絡を送る動きが必ず起きます。「補償のお手続き」「パスワード再設定のお願い」といった件名は典型です。公式の告知はOCSのサイトから自分でたどって確認するのが確実です。
クレジットカードを登録していた場合は、明細に身に覚えのない請求がないかを、しばらく見ておいてください。決済情報がどう保管されていたかは公表されていないため、対象かどうかは現時点で判断できません。
そして、注文済みの荷物や返金について知りたい場合は、公表されている問い合わせ先へ直接連絡するしかありません。サイトが応答しない以上、そこが唯一の窓口です。
まとめ
ANAグループの株式会社OCSが運営する海外在住者向け通販「OCS FAMILY LINK SERVICE」が、外部からのサイバー攻撃を受けて2026年7月23日から停止しています。同社は翌24日、個人情報・データの一部が流出した可能性があると公表しました。
8月5日時点で、サイトは応答せず、第3報も出ていません。漏れた可能性のある情報の項目も、件数も、侵入経路も、再開の見通しも公表されていません。停止から12日です。
このサービスを使っていたのは、日本の品物を現地で手に入れられない人たちです。止まったことの重さが、国内向けのサービスとは違います。同時に、自分の情報がどうなったかも分からないまま、待つ以外にできることが限られています。
当サイトでは続報が出しだい、この記事に追記します。
よくある質問
自分の情報が漏れたかどうか、確かめる方法はありますか
8月5日時点ではありません。流出の対象となった情報の項目も件数も公表されていないためです。第2報には関係者へ個別に連絡する旨の記載がありますが、開始の告知は出ていません。
パスワードを変えたほうがいいですか
サイトが応答しないため、このサービス自体のパスワード変更は現時点でできません。同じパスワードを他のサービスでも使っているなら、そちらを先に変えてください。
注文していた荷物はどうなりますか
公表されていません。公式に案内されている問い合わせ先(gaffairs@ocs.co.jp)へ直接確認するのが唯一の手段です。
ANA本体やマイレージのアカウントも危ないのですか
今回攻撃を受けたと公表されているのは、株式会社OCSが管理運用するサーバーです。ANA本体のシステムが影響を受けたという発表はありません。ただし両者の連携範囲について詳細な説明は出ていないため、断定はできません。
なぜ「システム不具合」という見出しのままなのですか
第1報の時点では原因が判明していなかったためと考えられます。第2報で内容は攻撃と流出の可能性に更新されていますが、見出しは第1報の表現を引き継いでいます。
参照元
- ▸株式会社OCS - 「OCS FAMILY LINK SERVICE」システム不具合に伴うサービス一時停止について(第2報)(2026年7月24日)
- ▸株式会社OCS - 同(第1報)(2026年7月23日)
- ▸Security NEXT - 通販サイトにサイバー攻撃、個人情報流出の可能性 - ANAグループ会社(2026年7月28日)
- ▸ANAマイレージクラブ - OCSファミリーリンクサービス
- ▸株式会社OCS 公式サイト(お知らせの掲載元)

堀川 慎
Backend Engineer / AWS / Django / Go