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【疑惑】Block 4000人解雇は「AIウォッシング」か。株価は23%上がった

Dorsey率いるBlockがAI理由で40%=4000人を解雇。株価23%急騰の裏で「AIウォッシング」疑惑が浮上。5ヶ月前の6800万ドルパーティーとの矛盾を検証する。

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Backend Engineer / AWS / Django

2026.03.297 min10 views
この記事のポイント

Dorsey率いるBlockがAI理由で40%=4000人を解雇。株価23%急騰の裏で「AIウォッシング」疑惑が浮上。5ヶ月前の6800万ドルパーティーとの矛盾を検証する。

Block(旧Square。Cash AppやSquare決済端末を運営する米フィンテック企業)が社員の40%にあたる4,000人以上を解雇しました。共同創業者でCEOのJack Dorseyは株主向けレターで「AIツールを使えば、より小さなチームでもっと多くのことができる」と説明しています。

発表翌日、Blockの株価は23%急騰しました。しかしBloombergは「AIウォッシングではないか」と報じ、社内からも疑問の声が上がっています。

Blockで何が起きたのか

2026年2月26日、BlockはQ4決算発表と同時に大規模な人員削減を発表しました。従業員数は10,000人超から6,000人弱へ。実に40%が会社を去ることになります。

解雇の対象はエンジニアリング、オペレーション、カスタマーサポートなど全部門に及びます。Dorseyは自身のXアカウントで「今日、会社の歴史で最も難しい決断のひとつを下す」と投稿しました。

同時に発表されたQ4決算は好調でした。粗利益は28.7億ドル(約4,300億円)で前年同期比24%増。業績不振による解雇ではありません。

Dorseyは株主に何と書いたのか

Dorseyの株主向けレターには、こう書かれています。

「私たちが作り、使っているインテリジェンスツールは、新しい働き方を可能にしている。大幅に小さなチームが、これらのツールを使うことで、より多くのことを、より良くできる。しかもインテリジェンスツールの能力は毎週複利で伸びている」

さらにDorseyはこう続けています。

「1年以内に、大半の企業が同じ結論に達し、同様の構造変革を行うと私は確信している。受動的に追い込まれるより、自分たちの意志で正直にたどり着きたい」

つまり「AIのおかげで少人数で回せるようになったから、先手を打って減らす」という論理です。業績が悪いわけではなく、むしろ好調なのに切る。これがBlock解雇の特異な点です。

なぜ「AIウォッシング」と疑われているのか

Bloombergは3月1日の記事で「AIウォッシング」(AIを口実にした見せかけの改革)の疑いを指摘しました。

疑惑の根拠はいくつかあります。まず、Blockは2019年から2022年にかけて従業員を3倍以上に増やしています。コロナ禍のフィンテックブームで大量採用し、ブームが落ち着いた後も他社より長く高い人員水準を維持していました。オックスフォード・エコノミクスの調査でも「多くのCEOが過去の過剰採用をAI由来の必要性として語り直している」と指摘されています。

もうひとつ話題になったのが、解雇の5ヶ月前にBlockが6,800万ドル(約100億円)を費やした大規模パーティーを開催していたことです。約200人分の年間給与に相当する金額を1回のイベントに使っておきながら、「AIで効率化するから人を減らす」と言われても説得力に欠けるという批判が出ました。

社内からは何が漏れてきたのか

企業の社員が匿名で投稿できるアプリ「Blind」には、Blockの認証済み社員から「コロナ禍の過剰採用の修正を、AI代替と言い換えているだけだ」という書き込みが複数あったとVentureBeatが報じています

一方で、Blockが内製しているAIツール「Goose」の存在も明らかになっています。エンジニアリングや業務フローに組み込まれたエージェント型のシステムで、Dorseyの「AIツールで仕事が変わった」という主張を裏付ける材料ではあります。ただし、このツールが4,000人分の仕事を実際に代替できるかどうかは誰にも検証できていません。

株価が23%上がった意味

解雇発表の翌日、Blockの株価(ティッカー: XYZ)は23%上昇し、時価総額は60分で約60億ドル(約9,000億円)増えました

Wall Streetが「AI理由の大量解雇」を好感した格好です。これは他の企業にとって強烈なメッセージになります。「AIで人を減らすと言えば株価が上がる」という前例ができてしまったからです。

バージニア大学ダーデンスクールの分析では「AIが戦略なのか、それともスケープゴートなのか」と問いかけています。株価が報いる限り、その答えを突き詰める動機は経営者にはありません。

日本企業への波及はあるのか

Dorseyは「1年以内に大半の企業が同じ判断をする」と予言しました。経済学者のAnton Korinekも、「競争圧力で他の企業も追随を迫られる」とFortuneの取材に答えています

ただし、マッキンゼーの調査では企業の3分の2がまだAI導入の初期段階にあり、Blockのような大胆な判断ができる企業は少数派です。日本ではNTTドコモソリューションズが2026年3月にAI活用度を4段階で審査する制度を始めましたが、それでも「AIで人を減らす」段階には至っていません。

2026年に入ってからのテック業界の人員削減は累計45,000人を超え、そのうち約20%がAI・自動化を理由に挙げています。Blockの事例がきっかけで、「AI理由の解雇」が正当化される空気が広がる可能性はあります。

今後どうなるのか

Block自体の業績は好調で、AI理由かどうかにかかわらず、6,000人体制で回せるかどうかが今後の試金石になります。仮にサービス品質が落ちなければ、Dorseyの判断は正しかったことになる。落ちれば、やはりAIウォッシングだったと言われるでしょう。

厄介なのは、株価がすでに答えを出してしまっていることです。23%の上昇という報酬を受けた以上、他のCEOたちは同じ計算をしているはずです。「AI」という3文字が、人員削減の免罪符として機能する時代が始まったのかもしれません。

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