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ChatGPTに広告が出た。Anthropicは「Claudeには絶対入れない」と宣言

OpenAIがChatGPTに広告を導入。CPM60ドルの強気設定だが広告主の予算消化に課題。Anthropicは「Claudeには広告を入れない」と対抗。日本への展開はまだだが時間の問題か。

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kkm-horikawa

kkm

Backend Engineer / AWS / Django

2026.03.228 min8 views

ChatGPTに広告が出始めた

2026年2月9日、OpenAIはChatGPTでの広告テストを開始しました。チャットで質問すると、回答の下に「Sponsored」と書かれた広告が表示されます。

開始から6週間。広告主にはWPP、電通グループ(Dentsu)、Omnicomという世界三大広告代理店が名を連ね、アドテク大手Criteoもパートナーに加わりました。参加ブランドは100社を超えています。

しかし、初期参加した広告主たちからは不満の声が漏れています。CNBCの3月20日の報道によると、予算を使い切れない広告主が続出しているのです。

なぜOpenAIは広告を入れたのか

OpenAIは2022年11月のChatGPT公開以来、約3年間「広告なし」を貫いてきました。方針転換の背景にあるのは、膨れ上がるコストです。

AIモデルの学習と推論に必要なデータセンターへの投資は膨大で、OpenAIは2030年まで赤字が続く見通しです。追加で200億ドル(約3兆円)以上の資金調達が必要とされています。月額20ドルのサブスクリプション収入だけでは足りません。

Sam Altman CEOは2026年1月16日にXで広告導入方針を発表。「広告で収益を得ることで、より多くの人に無料でAIを提供したい」という趣旨の説明をしています。

ChatGPTの広告はどう表示されるのか

ChatGPTの広告は、回答本文の下に「Sponsored」というラベル付きで表示されます。回答そのものには広告が混ざらないとOpenAIは説明しています。

ターゲティングは会話の文脈に基づきます。たとえばレシピについて質問すると、食材配送サービスの広告が出る仕組みです。Search Engine Landの報道では「予想より積極的」という指摘もあり、最初の質問から即座に広告が表示されるケースが確認されています。

OpenAIが掲げた「広告5原則」は以下のとおりです。

原則内容
回答非介入広告は回答内容に
一切影響しない
プライバシー保護広告主はチャット内容・
個人情報にアクセスできない
明示ラベルすべての広告を「Sponsored」
として視覚的に分離
センシティブ除外健康・政治の話題や
未成年には非表示
有料プラン保護Plus・Pro・Business・
Enterpriseには広告なし

現時点では米国内の無料ユーザーとGo(月額8ドル)プランのみが対象です。マイナビの報道によると、グローバル展開について聞かれたOpenAIは「現在行っていない」と回答しています。

広告主の評判はどうか。CPM60ドルの現実

Media Innovationの報道によると、ChatGPT広告のCPM(広告1,000回表示あたりの費用)は約60ドル。Metaの平均CPMの約3倍で、最低出稿額は20万〜25万ドル(約3,000万〜3,700万円)です。強気の価格設定です。

プラットフォームCPM目安ChatGPTとの比較
ChatGPT約$60基準
Meta(Facebook/Instagram)約$15〜20ChatGPTの約3分の1
Google Display Network約$3〜10ChatGPTの約10分の1

電通グループの担当者は「初期パフォーマンスは満足できるレベル」と述べていますが、問題は広告が表示される量です。

Business Insider Japanの報道では、OpenAIが慎重に広告の表示頻度を絞っているため、広告主が必要なインプレッション数を確保できない状況が伝えられています。3月末のパイロット期間内に予算を使い切れない広告主が続出し、未使用分は返金される予定です。

さらに、広告のパフォーマンスレポートはCSVファイルでの提供のみ。リアルタイムのダッシュボードはありません。Google広告やMeta広告に慣れた広告主にとっては、かなり不便な環境です。

ChatGPT広告をめぐる動き

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「Claudeには広告を入れない」Anthropicの宣戦布告

OpenAIの広告導入に対して、もっとも鮮烈に反応したのが競合のAnthropic(アンソロピック)です。Claude(クロード)というAIアシスタントを提供している会社です。

2026年2月のスーパーボウルで、Anthropicは印象的なCMを放映しました。トレーナーと深刻な対話をしているAIが、突然商品の宣伝を始めるというシーン。最後に「Ads are coming to AI. But not to Claude.(AIに広告がやってくる。でもClaudeには来ない)」というコピーが映ります。

TechCrunchの報道によると、Sam AltmanはこのCMに対して「面白いが、明らかに不誠実(clearly dishonest)だ」とXで反論。「あのような広告の出し方は絶対にしない。ユーザーが拒否することは分かっている」と述べています。

Anthropic側は「広告をClaudeの会話に含めることは、Claudeに求めるもの、つまり仕事と深い思考のための本当に役立つアシスタントという理念と相容れない」と説明しています。

この対立が映し出しているのは、AIビジネスの根本的な分岐点です。OpenAIは「広告で無料AI提供を拡大する」道を、Anthropicは「広告なしのプレミアムサブスクリプション」で品質を守る道を選びました。

Anthropicは実際にこの動画を公開し、「Claudeは広告なしを貫く」と宣言しています。

AIに広告を入れると何が起きるのか

OpenAIは「回答に広告は影響しない」と約束していますが、懸念は残ります。

CNBCの記者Hayden Field氏はこう指摘しています。「最初の広告イテレーション(繰り返し)は原則に従うかもしれない。しかし経済的なインセンティブ(誘因)が、自社ルールを上書きする強い力を生む」。

Facebookが辿った道を思い出す人は多いでしょう。2004年の創業時、Facebookも「広告は控えめに」を掲げていました。しかし上場後、広告収入を追い求めるうちにニュースフィードは広告で溢れ、ユーザーの信頼は徐々に損なわれていきました。

Truist証券のアナリストは、ChatGPTの広告市場を2026年に10億ドル未満、2030年には300億ドル(約4.5兆円)超と予測しています。もしこの予測が現実になるなら、「回答に影響しない」という原則がどこまで持つのか。OpenAIにとって、それはGoogleが「Don't be evil(邪悪になるな)」を守れたかどうかと同じ種類の問いになるかもしれません。

日本のユーザーへの影響は

現時点では、日本のChatGPTユーザーに広告は表示されていません。OpenAIはグローバル展開について「現在行っていない」と回答しています。

ただし、米国でのテストが「成功」と判断されれば、日本を含む他の市場への展開は時間の問題でしょう。日本のChatGPTユーザーに関係する点をまとめます。

  • 1. Plus(月額20ドル)以上のプランには広告は出ない。有料ユーザーは現時点で影響なし
  • 2. 無料プランとGo(月額8ドル)には将来的に広告が出る可能性がある。日本展開の時期は未定
  • 3. 広告を避けたい場合、Claude・Gemini・Copilotなどの代替がある。Anthropicは「Claudeには広告を入れない」と明言している

「無料だから広告」は正しいのか

「無料で使えるんだから広告くらい我慢しろ」。テレビ、YouTube、SNS。私たちはこの取引を何十年も続けてきました。

でもAIは、検索エンジンやSNSとは少し違います。「今日の天気」を聞くだけでなく、「転職すべきか」「この契約書に問題はないか」「子どもの症状は大丈夫か」と、人生の判断を委ねる場面があるからです。

そういう場面で、回答の下に転職サイトの広告が出たら。保険の広告が出たら。「回答に影響していません」と言われても、なんとなく気持ち悪さが残りませんか。

テレビの時代なら「CMの間にトイレに行く」で済みました。でもAIとの対話には、CMブレイクがありません。

続報:CTRはGoogle検索の7分の1、それでも「芽」はある

広告テスト開始から6週間が経過し、具体的な数字が出始めました。

Campaign USの報道によると、広告分析企業Adthenaの顧客データでは、ChatGPT広告のCTR(クリック率)は0.91%。同じ業種のGoogle検索広告のCTRは6.4%で、約7分の1です。

予算の消化率も厳しい数字です。ある広告主は25万ドル(約3,700万円)の予算をコミットしましたが、数週間で消化できたのはわずか3%。慎重すぎるロールアウトが原因で、3月中旬時点での広告配信対象はモバイルユーザーの約5%にとどまっています(3月初旬の1%からは拡大)。

指標ChatGPT広告Google検索広告
CTR0.91%6.4%(同業種平均)
予算消化率約3%(数週間)
配信対象モバイル約5%

一方で、ポジティブなデータもあります。アドテク大手Criteoの報告では、LLM(大規模言語モデル)経由で流入したユーザーは、他のチャネル経由のユーザーと比較して約1.5倍のコンバージョン率を記録しています。クリックは少ないけれど、クリックした人の購買意欲は高い。

OpenAIは少数のパートナー向けにセルフサーブ型のAds Manager(広告管理ダッシュボード)のテストも開始しています。CSV手渡しからの脱却です。2026年の広告収益目標は10億ドル(約1,500億円)、2029年までに250億ドル(約3.7兆円)を見据えています。

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