ChatGPTの広告、日本はいつから?費用・効果・回答への影響まとめ
OpenAIがChatGPTに広告を導入。CPM60ドルの強気設定だが広告主の予算消化に課題。Anthropicは「Claudeには広告を入れない」と対抗。日本への展開はまだだが時間の問題か。

堀川 慎
Backend Engineer / AWS / Django / Go
OpenAIがChatGPTに広告を導入。CPM60ドルの強気設定だが広告主の予算消化に課題。Anthropicは「Claudeには広告を入れない」と対抗。日本への展開はまだだが時間の問題か。
2026年6月、対話AI「ChatGPT」に広告が表示されるしくみが、日本でも始まりました。対象は無料プランと低価格の「Go」プランで、有料のPlus・Proには広告は出ません。出稿の支援には、電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェントといった国内の大手広告会社が名を連ねています。
この記事では、「日本でいつから始まったのか」「広告を出す企業はいくら払うのか」「始まってからの広告効果はどうなのか」「回答が広告で変わってしまうのか」「広告を消せるのか」を、出す側(広告主)と使う側(利用者)の両方の目線で整理します。あわせて、競合のAnthropic(対話AI「Claude」の開発元)が「広告を入れない」と明言している点や、そもそもなぜAIに広告が入るのかも見ていきます。
ChatGPTの広告は日本でいつから始まったのか
日本での展開は2026年6月に動き出しました。ITmediaなどの報道によると、電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェントの3社が、OpenAIと直接連携する国内のローンチ/研究パートナーとして、2026年6月18日に広告のパイロット運用(試験運用)への参画を発表し、6月19日から国内での試験的な広告表示が始まりました。日本経済新聞も、ChatGPT内の広告表示を電通や博報堂系が仲介すると報じています。
広告が表示されるのは、お金を払っていない無料プランと、低価格の「Go」プランの利用者です。月額を払っているPlusやProのプランには広告は表示されません。「無料で使う代わりに広告を見る」という、テレビやWebサービスでおなじみの形が、対話AIにも入ってきたかたちです。
世界全体では、OpenAIは2026年2月にアメリカで広告のテストを開始していました。OpenAIの告知やCNBCの報道のとおり、まず米国で試し、5月には日本を含む複数の国へ広げると予告していました。今回の日本での開始は、その予告どおりの拡大にあたります。
広告はどこに、どんな形で表示されるのか
広告は、ChatGPTとやり取りする画面の中に表示されます。OpenAIは、広告をAIの回答とははっきり区別して見せるとしており、スポンサー(広告主)であることを示す表示を添えて、通常の回答と視覚的に分かるようにすると説明しています。会話の文脈に関連した広告が出る想定ですが、バナーの正確な位置や大きさといった細部は、現時点では公式に詳しく示されていません。
米国で実際に表示され始めた広告については、Search Engine Landが「思っていたより目立つ(積極的な)出方だ」と報じるなど、見え方をめぐる議論も出ています。日本での具体的な表示のされ方は、試験運用が進むなかで固まっていくとみられます。
誰が広告を出せて、費用はいくらかかるのか
ここからは広告を出す企業(広告主)の目線です。ChatGPTの広告は、当初は限られた大手だけが出せる、かなり高額なものから始まりました。報道を時系列で整理すると、料金や最低出稿額は短期間で大きく動いています。
| 時期 | 料金の目安 | 最低出稿額の目安 |
|---|---|---|
| 2026年2月 (開始時) | 1,000回表示あたり 約60ドル(CPM 60ドル) | 約20万ドル (数千万円規模) |
| 2026年4月 | 1クリックあたり 約3〜5ドル(CPC)も追加 | 約5万ドルに低下 |
| 2026年5月 | 自分で出稿できる 管理ツール(β版)公開 | 最低出稿額の 下限を撤廃 |
「CPM」は1,000回表示されるごとの料金、「CPC」は1クリックごとの料金です。Adweekの報道によると、開始当初はCPMが約60ドルで、最低でも20万ドル(日本円で数千万円規模)からという、ごく一部の大手向けの条件でした。広告代理大手のOmnicomやWPP、そして電通(Dentsu)が、いち早くブランドを揃えたと報じられています。その後、4月にはクリック課金(1クリック約3〜5ドル)が加わり最低額は約5万ドルへ、5月には自分で出稿できる管理ツール(Ads Manager)のβ版が公開され、最低出稿額の下限が撤廃されたと伝えられています。CPMが25ドル程度まで下がった例も報じられており、当初の「大手専用」から徐々に裾野が広がりつつあります。
日本では、前述の電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェントが出稿の窓口・支援役になります。広告のしくみ自体に関心がある方は、当サイトの広告の「学習」とは何かを解説した記事もあわせてどうぞ。なお金額はいずれも報道ベースの目安で、為替や条件で変わります。
開始からの広告効果はどうだったのか
広告主がいちばん気にするのは「効果が出るのか」です。2026年2月の開始から数か月の評価は、「悪くはないが、評価しづらい」というのが正直なところです。クリック率(表示に対してクリックされた割合)は、業種によって0.8〜2.3%程度と、通常のバナー広告より高いという報道がある一方で、ある初期の事例では0.91%にとどまり、これはGoogle検索広告のおよそ7分の1だという報告もあります。見方によって評価が分かれている状態です。
評価しづらい理由は、効果を測るしくみがまだ未成熟なためです。Campaignは「まだ手探りで、初期の成果は物足りない」と報じ、出稿管理ツールの不具合でキャンペーンのデータが見られず、費用対効果の計算が難しかった時期もあったとされます。業界共通の比較基準(ベンチマーク)も公開されておらず、自社の結果が良いのか悪いのか比べにくいのが現状です。
一方で、OpenAIにとっての収益面は順調と報じられています。CNBCによると、広告事業は開始から2か月未満で年換算売上(ARR)1億ドルに到達したとされます。広告主側の手応えはまだら模様でも、利用者数の多いChatGPTという「場所」自体の集客力は大きい、というのが現時点の構図です。
利用者の疑問:回答は広告で変わるのか、会話の中身は使われるのか
ここからは使う側の目線です。多くの人がいちばん心配するのは、「広告を出した企業に有利なように、AIの回答そのものがゆがめられるのではないか」という点でしょう。これについてOpenAIは、広告は回答の内容には影響させないと説明しています。広告は回答とは別の枠として、スポンサー表示つきで区別して見せる、という建て付けです。
会話の中身の扱いについては、丁寧に見る必要があります。報道によれば、OpenAIは会話内容・チャット履歴・メモリ・個人情報を広告主に渡すことはないとしています。その一方で、どの広告を出すかを決めるために、利用者の会話内容や履歴、質問の数といった情報を「広告配信側で」利用するとも説明されています。つまり「広告主に中身を売る」のではなく、「OpenAIの中で広告の出し分けに使う」という整理です。気になる場合は、設定でメモリやデータの利用範囲を見直しておくと安心です。AIに何でも相談することのリスクについては、ChatGPTが利用者に同調しがちだとStanfordが実証した話も参考になります。
ChatGPTの広告を消す・減らす方法はあるのか
広告を見たくない場合の最も確実な方法は、有料のPlusまたはProプランを使うことです。今回のしくみでは、広告が表示されるのは無料プランと「Go」プランに限られ、PlusやProには広告が出ないとされています。「広告を見ないために月額を払う」か、「無料で使う代わりに広告を受け入れる」かの選択になります。
無料・Goのまま使う場合でも、表示される広告の精度(自分への出し分け)は、メモリや会話履歴の設定によって変わりうると考えられます。プライバシーが気になる方は、設定からメモリの利用や学習へのデータ利用を見直すとよいでしょう。試験運用の段階のため、今後、広告の出方や調整の選択肢は変わっていく可能性があります。
競合はどう動くか:Anthropicは「Claudeに広告を入れない」と明言
対話AIへの広告導入は、各社で方針が割れています。なかでも、ChatGPTの最大のライバルである対話AI「Claude」を開発するAnthropicは、「Claudeには広告を入れない」という立場を明確にしています。両社の路線の違いは、利用者がどのAIを選ぶかにも関わってきます。
この対立を象徴したのが、Anthropicが公開したClaudeの広告動画です。「腹筋を割るには?」と問いかけるこの動画に対し、OpenAIのサム・アルトマンCEOが反応したことがTechCrunchに報じられ、広告をめぐる両社の温度差が話題になりました。
Anthropicが公開したClaudeの広告動画「Can I get a six pack quickly?」
筆者の見解です。「広告を入れる/入れない」は、単なる収益の話にとどまらず、それぞれのAIが利用者との信頼をどう築くかという姿勢の表明でもあります。広告で無料利用者の裾野を広げたいOpenAIと、広告のない体験を売りにしたいAnthropic。どちらが正解かは利用者の評価で決まりますが、「無料の対話AIは広告で支えられる」時代に入ったことは、もう後戻りしないでしょう。
なぜAIに広告が入るのか、これからどうなるのか
そもそも、なぜOpenAIは広告に踏み切ったのでしょうか。背景には、AIの開発と運営にかかる莫大なコストがあります。最新のAIは、学習にも、利用者の問い合わせに答える計算にも巨額の費用がかかり、無料利用者が増えるほど赤字も膨らみます。ここからは筆者の見解です。有料会員だけでは費用をまかないきれないなかで、広告は「無料利用者を抱えながら収益化する」ための現実的な一手になっています。
OpenAIの台所事情は、当サイトでも繰り返し取り上げてきました。採算の合わないサービスを畳んだ動画生成Soraの終了と巨額赤字の話や、上場(IPO)をめぐる社内の対立を見れば、広告という収益源を急いで育てたい事情が見えてきます。今後は、出稿のハードルがさらに下がって中小の広告主にも開かれ、効果測定のしくみが整っていくと予想されます。一方で、回答の中立性や会話データの扱いをめぐる議論は、これから本格化していくでしょう。
よくある質問(FAQ)
ChatGPTの広告は日本でいつから始まりましたか?
2026年6月です。電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェントが6月18日に国内パイロットへの参画を発表し、6月19日から国内での試験的な広告表示が始まりました。世界では米国で2026年2月にテストが始まっています。
有料プランでも広告は出ますか?
いいえ。広告が表示されるのは無料プランと低価格の「Go」プランです。月額のPlus・Proには広告は表示されないとされています。広告を避けたい場合は有料プランが確実です。
広告でAIの回答内容は変わってしまいますか?
OpenAIは、広告は回答の内容には影響させず、回答とは区別してスポンサー表示つきで見せると説明しています。会話内容や履歴、個人情報を広告主に渡すこともないとしています。一方で、どの広告を出すかの判断には会話などの情報が使われるとされ、この点の議論は続いています。
広告を出すにはいくらかかりますか?
報道ベースの目安では、開始当初は1,000回表示あたり約60ドル・最低出稿約20万ドルでしたが、4月に1クリック約3〜5ドルが加わり最低額は約5万ドルへ、5月には自分で出稿できる管理ツールのβ版公開で最低額の下限が撤廃されたとされます。日本では電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェントが出稿を支援します。
まとめ
2026年6月、ChatGPTの広告が日本でも始まりました。対象は無料プランと「Go」で、Plus・Proには出ません。電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェントが出稿を支援します。広告主の費用は、当初の「1,000回表示で約60ドル・最低20万ドル」から、クリック課金の追加や管理ツールの公開を経て、徐々に出しやすい方向へ動いてきました。
効果の評価はまだ定まらず、計測のしくみも発展途上ですが、OpenAIの広告売上自体は急成長しています。利用者にとっては、回答そのものは広告で変えないとされる一方、会話データの扱いは引き続き注視したい点です。広告を見たくなければ有料プランという選択肢があります。Anthropicが「Claudeには広告を入れない」と明言するなか、無料の対話AIをどう支えるかという問いは、これから各社の個性が出るところになります。
更新履歴
- ▸2026年6月19日 ― 日本でのパイロット開始(電通デジタル・Hakuhodo DY ONE・サイバーエージェント参画、無料/Go対象)を反映し、出稿費用・広告効果・回答への影響・消す方法を軸に全面改稿
- ▸初版 ― 米国での広告テスト開始(CPM60ドル)とAnthropicの方針を中心に公開
参照元
- ▸ITmedia NEWS - 電博、2社そろってChatGPT広告参入
- ▸日本経済新聞 - ChatGPT内に広告表示、日本でOpenAIが展開
- ▸OpenAI - Testing ads in ChatGPT
- ▸OpenAI - Our approach to advertising and expanding access
- ▸Adweek - Omnicom, WPP and Dentsu line up brands for OpenAI pilot
- ▸CNBC - OpenAI ads pilot tops $100M in ARR in under 2 months
- ▸Campaign - Underwhelming early returns for ChatGPT ads
- ▸Search Engine Land - ChatGPT ads spotted, and they are quite aggressive
- ▸TechCrunch - Sam Altman got testy over Claude Super Bowl ads