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ドラクエ10、GoogleのAI「Gemini」を搭載―声で話せる相棒「おしゃべりスラミィ」とは

スクエニがドラクエ10にGoogleの生成AI「Gemini」搭載を発表。音声で会話できるバディ「おしゃべりスラミィ」の機能、4月のベータテスト募集、ゲームAIの可能性と課題をまとめた。

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Backend Engineer / AWS / Django

2026.03.227 min9 views

ドラクエ10に「AIの相棒」が来る

スクウェア・エニックス(以下スクエニ)は2026年3月21日、オンラインRPG「ドラゴンクエストX オンライン」(以下ドラクエ10)に、Googleの生成AI「Gemini」を搭載すると発表しました。

AIが入るのは「おしゃべりスラミィ」というゲーム内キャラクター。プレイヤーの冒険に付き添うバディ(相棒)で、声で話しかけると、AIが音声で返事をしてくれます

4月20日ごろからクローズドベータテストが始まる予定で、公式プレイヤーサイト「冒険者の広場」から3月30日11時59分まで参加者を募集しています。

「おしゃべりスラミィ」とは何か

おしゃべりスラミィは「死神見習い」という設定のスライム型キャラクターです。プレイヤーの冒険履歴を「死神手帳」に記録しており、過去にどんなモンスターを倒したか、どこを冒険したかを覚えています。

できることは大きく3つあります。

  • 1. 音声での双方向会話:マイクで話しかけると、AIが考えて声で返事をする。テキスト入力にも対応
  • 2. ゲーム攻略のアドバイス:「次はどこに行けばいい?」と聞くと、プレイヤーの進行状況に合わせた提案をしてくれる
  • 3. 自分から話しかけてくる:プレイヤーの行動を見て、スラミィ側から会話を始めることもある

従来のNPCは決まったセリフを繰り返すだけでしたが、おしゃべりスラミィはプレイヤーごとに違う返答をします。同じ質問をしても、冒険の進み具合や過去の会話によって答えが変わります。

なぜ「村人AI」ではなく「バディ」なのか

ゲームにAIを入れるとき、最初に思いつくのは「村人や店員などのNPCをAIにする」というアイデアでしょう。でもスクエニは別のアプローチを選びました。

開発・運営の安西崇プロデューサーはASCII.jpのインタビューで、「村人にAIを入れるのではなく、一緒に遊ぶ友達や仲間としてのほうがよい」と語っています。

背景にあるのは、ドラクエ10がオンラインゲームであるということです。他のプレイヤーと一緒に遊ぶのがこのゲームの醍醐味ですが、現実には「周りに知り合いがいなくて一人で遊んでいる」というプレイヤーも少なくありません。

安西Dは「相棒ならば、双方向の会話があってしかるべき」とも話しており、一方的に情報を与えるガイドではなく、プレイヤーと対等に会話できるキャラクターを目指していることがわかります。子供のころに友達の家でゲームをしながらおしゃべりした体験を、AIで再現しようとしているわけです。

Geminiはどうやって「ゲームを理解」しているのか

おしゃべりスラミィの裏側で動いているのは、GoogleのGemini 3 FlashというAIモデルと、Gemini Live APIというリアルタイム対話の仕組みです。

ITmediaの報道によると、システムは4段階のエージェント管理で動作します。

AIが応答するまでの流れ

  • 1 プレイヤーの音声・テキスト入力を受け取る
  • 2 質問の内容に応じて、適切なゲーム内エージェントに振り分ける
  • 3 ゲームのデータベースから正確な情報を取得する
  • 4 情報をもとに音声で返答を生成する

ポイントは、AIが「なんとなくそれっぽい答え」を返すのではなく、ゲームのデータベースを参照してから回答する仕組みになっていることです。「次のクエストはどこ?」と聞かれたら、プレイヤーの実際の進行状況を確認してから答えます。

さらに、ゲーム画面の認識もできます。プレイヤーが今見ている画面の状況をAIが把握し、文脈に合った会話ができるようになっています。

スクエニの龍直人氏は「リアルタイムでの実装には適切なインフラが必要」とコメントしており、応答速度とコストのバランスが開発上の課題であることを示唆しています。

プライバシーと安全対策はどうなっているのか

AIキャラクターと会話できるとなると、気になるのは「変なことを言わせられないか」「会話内容が漏れないか」という点です。

スクエニは以下の対策を明らかにしています。

対策項目内容
ゲーム外の話題現実世界の情報や
質問には応答しない
会話の学習・公開他のプレイヤーとの
会話は学習されない。
内容も公開されない
不適切な応答AIの安全フィルタで
不適切な返答を防止

つまり、おしゃべりスラミィとの会話は自分だけのものです。他のプレイヤーに見られることも、AIの学習データに使われることもありません。

ベータテストの募集要項

項目内容
募集期間〜2026年3月30日
11:59まで
テスト開始2026年4月20日ごろ
テスト期間約1ヶ月
応募方法冒険者の広場から
対象ドラクエ10
現役プレイヤー

ゲームにAIを入れるとどうなるか

映画『A.I.』(2001年)で、スピルバーグは「人間を愛するようプログラムされたロボットの少年」を描きました。あれから25年、現実のAIは「人間を愛する」のではなく、「人間の冒険に付き合ってくれるスライム」として私たちの前に現れました。

ゲームとAIの組み合わせはまだ実験段階です。応答が遅くてテンポが悪くなるかもしれないし、的外れなアドバイスをしてくるかもしれない。ベータテストの結果次第では、大きく仕様が変わる可能性もあります。

でも、「NPCに台本を読ませるのではなく、プレイヤー一人ひとりに違う体験を届ける」という方向性は、オンラインゲームが13年間抱えてきた「一人遊びの孤独感」に対する、ひとつの回答になるかもしれません。

「Geminiとドラゴンクエストがつながることが、ゲームとAIの新しいブレイクスルーになれば嬉しい」。安西Dのこの言葉が現実になるかどうかは、4月のベータテストで見えてくるはずです。

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