「謎の個人ブログ」をGoogleが呼び戻す日。AI記事疲れの先にあるもの
2023年のヘルプフルコンテンツアップデートで姿を消した「謎の個人ブログ」を、2026年3月・5月のGoogleコアアップデートはまた呼び戻そうとしている。E-E-A-Tの「経験」追加、AI記事疲れ、Bingが主力になった一介の個人ブログから見える検索の地殻変動を、運用者の目で観測する。

堀川 慎
Backend Engineer / AWS / Django
2023年のヘルプフルコンテンツアップデートで姿を消した「謎の個人ブログ」を、2026年3月・5月のGoogleコアアップデートはまた呼び戻そうとしている。E-E-A-Tの「経験」追加、AI記事疲れ、Bingが主力になった一介の個人ブログから見える検索の地殻変動を、運用者の目で観測する。
あの「サンガツ」って叫んだ個人ブログを、最近見かけない
10年前、駆け出しのエンジニアだった頃の話です。コンソールに赤い文字でエラーが流れる。エラーメッセージをそのままコピーしてGoogleに貼りつける。1ページ目はStackOverflowの英語ばかり。2ページ目を斜め読みして、3ページ目あたりに「ブログ」って書いてあるFC2のページが出てくる。デザインが古くて、サイドバーに謎のタグクラウドがある。
そのページに、自分と全く同じエラーで詰まった人の記録がある。試行錯誤のログがそのまま貼られていて、最後に「これで動いた」と一行書いてある。私は心の中でつぶやく。「サンガツ!」
何年か会社員として働いて、自宅でも何か手を動かそうと思った時期にも、私は個人ブログにずっと助けられていました。Surface(Microsoftが出してる純正PC)からWindowsを消してLinux Mintに差し替えたいと思ったとき、ちょうど同じことを試みている人の記事が出てきました。BIOS画面を手撮りで撮ったブレた写真、「ここで詰まった、二日かかった」の正直な記述。あれにどれだけ助けられたか分かりません。
ところが、いつの間にかこういう個人ブログが検索結果から消えていきました。代わりに上位に並ぶようになったのは、「○○とは」「○○のメリット・デメリット」「○○おすすめ5選」というH2見出しが横並びで生えた、便利だけど何の温度もないランキング記事ばかり。
便利になった。でもあのとき「サンガツ!」と叫んだ気持ちは、もう湧いてこなくなった。
2022年末、Googleの評価軸に「Experience」が足された
Googleには昔から、検索結果の質を測る基準があります。E-A-Tと呼ばれていて、2014年あたりから運用されてきた考え方です。Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字。要するに「この記事を書いている人は、本当にその分野に詳しいのか」「そのサイトはちゃんとした発信元か」を測ろうという話。
2022年12月、Googleは品質評価ガイドラインを改訂し、ここにもう一つの「E」を加えました。Experience(経験)です。「実際にその場所に行った」「実際にその製品を使った」「実際にその作業をやった」人を、専門性や権威性とは別軸で評価するという宣言でした。
これは地味な改訂に見えるかもしれません。でも、よく考えるとちょっとすごい話です。専門家じゃなくても、権威がなくても、「実際にやった人」なら評価されうると、Googleが公式に書いたわけですから。
10年前にFC2の片隅で「ここで二日詰まった」と書いていた人は、専門家ではないかもしれません。権威ある立場でもなかったでしょう。でも、確かに「やった人」でした。Googleが2022年末に追加したのは、まさにこのレイヤーを拾い直す仕組みだったわけです。
…とはいえ、当時はこの追加が現場の検索順位にどう効くのかは見えませんでした。ガイドラインに書かれることと、アルゴリズムに反映されることの間には、いつもタイムラグがあります。
2023年のヘルプフルコンテンツアップデートで何が起きたか
追加された「E」が、すぐに個人ブログを救ったわけではありませんでした。むしろ事態は逆方向に進みました。
| 時期 | 起きたこと | 個人ブログから見た景色 |
|---|---|---|
| 2022年12月 | E-A-T → E-E-A-T(Experience追加) | ガイドラインだけ静かに改訂 |
| 2023年9月〜 | ヘルプフルコンテンツアップデート(HCU)連発 | 流入が5〜8割飛ぶサイトが続出。「2年経っても戻ってこない」と業界各所が報告 |
| 2024年8月 | 2024年8月コアアップデート | 海外SEO各所から「小規模・独立系サイトに揺り戻し」の報告が初めて出る |
| 2026年3月27日 | March 2026 Core Update ロールアウト開始 | 「明確な視点」「実証された専門性」「読者ファースト」のサイトが残ったとSEO各社が分析 |
| 2026年5月21日 | May 2026 Core Update ロールアウト開始 | 「実体験・ケーススタディ・実際の使用に基づく説明」を一般要約より上に評価する方向が強化 |
2023年の連発HCUで何が起きたか、振り返ると胃が痛い話です。趣味で書いていたレシピサイト、レビューサイト、エラー備忘録ブログ——「小規模で個人運営、でも丁寧に書いていた」サイトが軒並み流入を5〜8割落としました。中には95%消えたと報告するブロガーもいました。Googleはこれらのサイトを「ヘルプフルじゃないコンテンツ」と判定したわけです。
私が「いつの間にか検索結果から個人ブログが消えた」と感じていたのは、たぶん感覚ではなくて、実際に起きていたことだったのです。
2024年8月の中規模なコアアップデートあたりから、海外SEO業界では「揺り戻し」を匂わせる観測が出始めました。そして、これを書いている時点で進行中の2026年3月版コアアップデートと5月版コアアップデートでは、Googleの公式コメントとSEOアナリストの分析がはっきり「経験」「ケーススタディ」「実証」の方向を指しています。
これは「2023年に殺した個人ブログを、3年かけて呼び戻し始めた」ように、私には見える。希望的観測かもしれません。でも、観測値としてそう見える。
ここで一つ、誤解を避けるために書いておきます。「謎の個人ブログが呼び戻される」と言うとき、私が指しているのは、技術備忘録、実体験の作業ログ、特殊な状況でのトラブルシューティング記録のような、「読んだ誰かを実際に救ってきた記事」のことです。「今日は会社で疲れた」のような日記系の雑記サイトを戻したい、という話ではありません。
Googleが「Experience(経験)」という評価軸で見ようとしているのも、たぶん前者のレイヤー。日記系の雑記サイトは書き手にとって大事な居場所だったと思いますが、「同じ問題で詰まった誰かを救う」という意味での復権からは外れる、と私は読んでいます。
私が「サンガツ」と言ったのは、こういう記事でした
話を10年前に戻します。私が「サンガツ!」と叫んでいた個人ブログには、いくつか具体的な顔があります。
一つ目は、オンプレミスのサーバーで自力でファイアウォール(外からの通信を選別する仕組み)デーモンをセットアップしていたときの話です。「とりあえず国内IP以外をブロックしたい」と思った。GeoIPデータベースを引いて、iptablesに国別のブロックルールを流し込む——一見シンプルだけど、地味に詰まりどころが多い作業です。
検索したら、全く同じことをやっている人が個人ブログに書いていました。スクリプトの実装、cronで定期更新する方法、検証コマンド、ハマったポイント。商業メディアでは絶対に書かれない、ピンポイントすぎる話。あれが無かったら、私は二日くらい余分に悩んでいたと思います。
二つ目は、SurfaceからWindowsを消してLinux Mint(Ubuntu系の使いやすいLinux)に差し替えたかったときの話です。これも一般的とは言えない。Surfaceは独自のキーボードドックがあって、ハードウェアの相性が独特です。
そんな特殊な状況で、全く同じことを試みている人がいました。しかも、その人はBIOS画面を手撮りでブレた写真で載せていた。半分ピントがズレているような写真です。でも、その雑な写真が「ああ、ここで詰まるのか」「この設定はここから入るのか」を、文章よりよほど雄弁に伝えてくれた。
大企業の精査がかかっていない、雑な書きっぷり。誤字も推敲不足もある。でも、ある意味あの粗さが「ちゃんと自分でやった人だ」と保証していた。
そして、助けられるのと同じ温度で、こちらの向上心も湧いてきました。「この人も自宅でこんな環境組んでるんだ」「自分もやってみよう」と。同じ手触りの仲間が、検索の向こうにいる感覚です。
あたたかみ、というのはたぶんこういうところから感じていた。
同じこと思ってる人、けっこういた
この記事を書きながら念のため検索してみて気づいたのですが、私の感覚は別に新発見でも何でもなくて、もっと前から同じことを言葉にしていた人たちが、たくさんいました。
「謎の個人ブログ」というキーワードでネットを覗くと、まとめブログ系の記事が複数ヒットします。中身はだいたい同じ。5ちゃんねるのスレッドで「Googleで『同じエラーで詰まった』みたいな備忘録が出てこなくなった」「個人ブログがインデックスから消えた」と嘆く話題が、定期的に立っていた様子です。
たとえば、2021年9月の「ってなんじぇですかー」というブログが、「謎の個人ブログ『同じバグが出た人のために備忘録を残しておきます』」というタイトルでこの話題をまとめていました。スレッド内の、こんな一節が引用されています。
「最近googleが馬鹿になって、個人Blogの備忘とか引っ掛からなくなってんだよな」
— まとめブログ「ってなんじぇですかー」(2021年9月)が引用した5chスレッドより
そして翌年の2022年10月、別のまとめブログ「ポポ速」も、ほぼ同じ題材で「謎の個人ブログ『備忘録として残しておきます』」という記事を出しています。こちらに引用されたスレッド内のコメントは、もう少し痛烈です。
「ジオシティーズ、インフォシーク、ヤフーブログを抹消してしまった現代の焚書」
— まとめブログ「ポポ速」(2022年10月)が引用した5chスレッドより
2021年9月、2022年10月。両方とも、ちょうど2023年のヘルプフルコンテンツアップデートで個人ブログがごっそり消える、その少し前の時期です。当時の人たちは、Googleが何をやっているのかを名前で指せていたわけではないですが、「検索結果から個人ブログがいなくなった」という体感は、もっと早い時期から共有されていたわけです。
そして「謎の個人ブログ」という言い回し自体が、いつの間にかネットスラング的に定着しています。「謎」と呼んでしまうのは少し皮肉で、本当は別に謎じゃない。検索結果でしか出会えない、書き手の顔も知らない、でも確かに自分と同じ作業で詰まった誰かの記録。名前を知らなかっただけで、たぶん私たちはずっと、同じ人たちに助けられていたのです。
つまりこの記事の主題は、私が新発見したものではありません。「もっと前からみんな思っていた感覚を、私は2026年のGoogleの動きと接続したい」というのが、書いている動機です。
最近、AI記事疲れしている
最近、検索結果の上位に並ぶ記事を開くたびに、こう思うようになりました。「これ、AIが書いたんだろうな」と。
結論を先に書きます。検索結果の上位は、AIが量産した当たり障りのない記事で埋まり始めています。「○○とは」「○○のメリット・デメリット」「○○のおすすめ5選」——どれを開いても、同じH2見出し、同じ目次、同じ結論。AIが書いたんだろうな、と目で見てわかるくらいの濃度です。
そして大企業メディアの記事も、構造としてはこれと近い。広く浅く、責任を取らない範囲で、当たり障りなくまとめる。書き手の顔も、実体験も入っていない。AIの記事と、AIっぽく仕上がった企業メディアの記事——どちらにせよ、私が知りたいことは書かれていません。
むしろ検索エンジンを開く理由が変わってきました。「広く浅い情報をまとめてほしい」のではなく、「この特殊な状況、この特殊な機材、この特殊なエラーで、実際に試した人の生々しい記録を見たい」のです。
Surfaceに無理やりLinux Mintを入れて、手撮りでBIOS画面を撮っている人。家庭用ルータの裏でiptablesを叩いて国内IP以外をブロックしている人。AIにも大企業メディアにも書けない、「雑なんだけど、確かにそこで生きていた人がいる」記録。
これを私は「AI記事疲れ」と呼んでいます。AIが量産した当たり障りのない記事と、AIっぽく仕上がった企業メディアの記事に、両方とも食傷気味だ——という感覚です。大企業の記事より謎の個人ブログを求めるのと、同じ方向性の話。
そしてここから先がコラムの本題ですが、このAI記事疲れと、2026年のGoogleコアアップデートは、ちゃんと地続きの話だと私は思っています。
Googleにとって、AIで足りる記事を上位に置き続けることは、検索エンジンとしての存在意義を削る行為です。だってユーザーはAIに直接聞きにいけば済む話だから。検索エンジンが生き残るには、「AIには書けないもの」を上位に上げないといけない。E-E-A-Tの「経験」追加も、3月と5月のコアアップデートで強化された「実体験・ケーススタディ」評価も、たぶん同じ問題を解こうとしている動きです。
そして、AIには書けないものをいちばん持っているのは、たぶん——10年前に「サンガツ」と言われていた個人ブログなのです。
うちのブログ、なぜかBing流入のほうが多い
ここから自分のブログのデータを開示します。このブログは2026年3月から運用を開始した、まだ生まれて3ヶ月の若いサイトです。PV絶対値は今回は伏せますが、傾向は遠慮なく出します。
月次のPV推移は、ざっくり3月→4月で約3割減、4月→5月で約2倍という形になっています。3月はたまたまはてなブックマークでバズった単発要因があり、4月はその反動で凹んだ月。5月はバズ単発要因なしで、3月のピーク値を上回りました。
この伸びは、コアアップデートで救われたから——ではなさそうです。順位的なジャンプは観測されていません。競合の少ない領域に記事が溜まってきたことの素直な結果に見える。アルゴリズム的な追い風は、今のところ実感していません。
…ところが、流入の内訳を見ると、世間の常識と相当ズレた数字が出ています。
| 検索エンジン | 5月のうちのブログ内訳 | 日本のデスクトップ検索シェア(世間相場) |
|---|---|---|
| Bing | うちのオーガニック検索流入の約54% | 15%前後 |
| 約46% | 70%超 |
うちのブログでは、Google検索よりBing検索からの流入のほうがわずかに多いのです。世間ではほぼ7:1でGoogleが圧勝のはずなのに。ほぼ五分、もしくはBingがちょっと上、という地点に着地しています。
なぜこうなるのか。これは推測ですが、心当たりはあります。うちのブログがいちばん書いているのはCVE(セキュリティ脆弱性)の速報と国内サービスの障害情報です。これらの情報は、業務時間中に企業のIT管理者が支給PCで検索する種類のもの。
支給PCのブラウザは、社内規定でChromeのインストールが禁止されているケースが多い。標準のEdgeのまま、既定検索エンジンであるBingで、セキュリティ情報を検索してたどり着く——という導線が見える気がしています。
傍証もあります。Google Analyticsのリファラ(参照元)を見ると、企業内チャットツールのCDN、大手企業グループのSharePoint、企業向けID管理サービス経由の流入がぽつぽつ記録されています。業務PCで開かれて、社内チャットで「これ読んで」と回されていると見える痕跡です。
対照的に、はてなブックマークやXでちょいバズした日の流入は、ほぼ全部モバイルです。デスクトップとモバイルの比率が半々という、これまた世間の常識(モバイル7割)と違う数字が出るのは、この「業務PC:プライベートスマホ」の二重構造のせいでしょう。
大企業の権威記事じゃないと上位に出てこなかった時代に、個人ブログがBingでなぜか拾われ始めている。これも、ささやかな地殻変動の現場報告です。
Bingが個人ブログを早めに拾う理由は、たぶんもう一つあります。Bingの推薦システムにはIndexNowという仕組みがあって、記事を公開すると即日インデックスされる。Googleが数日〜数週間かけて様子を見るのに対して、Bingは早い段階で個人ブログを試験投入してくれる印象があります。
AIに検索が食われていく、その先で読むもの
ここからは少しだけ視野を広げます。「個人ブログが復権するかもしれない」という話の背景にあるのは、もっと大きな構造変化です。検索がAIに食われているという現象。
2024年以降、Googleは検索結果の上にAI Overviews(AIによる要約)を表示するようになりました。ユーザーは検索結果の青いリンクを踏まずに、AIの要約だけ読んで離脱する。これはゼロクリック検索と呼ばれていて、サイト運営者の流入をじわじわと削っています。
2026年5月にはGoogleが「AI Mode」を本格展開しました。検索エンジンそのものが対話型AIに寄っていく動きです。OpenAIもChatGPTのウェブ検索を強化し、Anthropic(Claudeを開発する会社)もWeb検索を提供しています。ユーザーがいちばん最初に「質問する場所」が、Googleの検索ボックスではなくAIのチャット入力欄に変わりつつある。
この流れの中で、検索エンジンとSEOの位置づけは、たぶん大きく二つに分かれていきます。
| 層 | これからの担い手 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 広く浅い「○○とは」層 | AI(ChatGPT、Gemini、Claude) | 学習データの広さ |
| 公式情報・一次ソース層 | 公式ドキュメント、官公庁、報道機関 | 出典・権威 |
| 特殊状況の実体験層 | 個人ブログ、技術者の作業ログ | 経験・再現性 |
真ん中の公式情報層は、たぶん安泰です。Googleも一次ソースを優遇する方向は変わらない。一番上のAIで足りる層は、これから個人ブロガーが書いても勝てません。残ったのは一番下の「特殊状況の実体験層」。ここが個人ブログの居場所で、Googleが「Experience」を追加したのも、ここを救うための仕組みだと考えると筋が通ります。
ユーザー側の検索体験もたぶん変わります。「とりあえずまとめを読みたい」のときはAIを開く。「具体的にやった人の手順を見たい」のときは検索エンジンを開く。検索エンジンは「人間の作業ログを発掘する道具」に近づいていく気がします。
これはSEOの世界では、たぶん大きな変化です。長年「Googleで上位に出るには権威性」が金科玉条でしたが、これからは「権威性は前提として、その上に経験のレイヤーを積めるか」が分岐点になる。大企業メディアと個人ブログが、初めて同じ土俵に立てる可能性がある。
ただし注意も要ります。AIの台頭は「上位存在化」とも言える現象を生んでいます。「ChatGPTがそう言ったから正しい」と無条件に受け取る空気。これは別のリスクで、このブログでも先日別記事で触れた話題です。検索体験がAIに寄るからこそ、最終的な判断は人間が握り続ける必要があります。
いつか「サンガツ」って言われたい
話を最初に戻します。10年前、私を助けてくれた個人ブログの書き手たちに、私はずっと「サンガツ」を言ってきました。FC2の片隅、はてなダイアリーの跡地、レンタルサーバーの古いブログ。彼らがいなかったら、私はエンジニアという仕事を続けられなかったかもしれない。
自分が書く側に回ってみて、ようやくその「サンガツ」がどれだけ尊いものか分かりました。記事を書いて、検証して、誤字を直して、SVGをこねくり回して、公開ボタンを押す。何時間もかけて書いた記事に、誰かが「ありがとう」と言ってくれることの重みは、書いてみないとわからない種類のものです。
2026年のGoogleは、Experience(経験)を評価軸に追加し、3月と5月のコアアップデートで「実体験」「ケーススタディ」を一般要約より上に置く方向に動きました。これは、10年前に私を救ってくれた個人ブログたちに、Googleがようやく追いついた瞬間かもしれない。
もちろん、まだ希望的観測です。本当に個人ブログが復権するかどうかは、これから半年〜1年かけて検証していかないと答えは出ません。Googleが評価軸を変え、AIが検索を食い、Bingが主力になる——どの地殻変動が来ても、たぶん人が書きたい記事は変わらない。書きたい人は書き続けるし、それを読みたい人は探しに来る。
うちのブログはまだ運用3ヶ月目です。順位ジャンプも観測していません。でも、Bingで主力になり、業務PCから読まれ、ちょっとずつ「業界のIT管理者が困った時に辿り着く先」になりつつある手触りはあります。これはCVE速報という競合の少ない領域に記事を積んだ素直な結果で、コアアップデートの追い風はまだ受けていない。観測者として淡々と、半年後にもう一度この場所に戻ってきます。
半年後、もう一度この記事に戻ってきます。「2026年下半期、結局個人ブログは戻ってきたのか?」を、自分のブログのデータで答え合わせするために。
そのときの私は、たぶん10年前のあの書き手たちと同じ顔をして、雑な書きっぷりで、誰かのエラーをひとつ救う記事を書いている気がします。読んだ誰かがモニターに向かって心の中で「サンガツ!」とつぶやいてくれたら、私はようやく、あの日の借りを少しだけ返せた気持ちになる。
「サンガツ」と言われる側に、なりたい。たぶんこのブログを始めた本当の理由は、それだけです。