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LinuxがSteamで初の5%突破、macOSの2倍以上に

2026年3月のSteamハードウェア調査でLinuxのシェアが5.33%に急伸し、初めて5%を突破しました。macOSの2.35%を大きく上回り、SteamOS・Steam Deck・Protonが牽引する成長の背景と注意点を解説します。

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kkm

Backend Engineer / AWS / Django

2026.04.045 min7 views
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2026年3月のSteamハードウェア調査でLinuxのシェアが5.33%に急伸し、初めて5%を突破しました。macOSの2.35%を大きく上回り、SteamOS・Steam Deck・Protonが牽引する成長の背景と注意点を解説します。

Valveが公開した2026年3月のSteamハードウェア&ソフトウェア調査で、Linuxのシェアが5.33%に達しました。Steamの調査でLinuxが5%を超えたのはこれが初めてです。

同月のmacOSは2.35%で、Linuxはその2倍以上のシェアを記録したことになります。Windowsは92.33%で依然として圧倒的ですが、前月比で4.28ポイント減少しています。GamingOnLinuxKitGuruなど複数のメディアがこの数字を「歴史的なマイルストーン」と報じています。

3月のOS別シェア

Steamハードウェア調査は、SteamクライアントがインストールされたPCの構成を毎月集計するものです。3月の結果は以下の通りです。

OS3月シェア前月比
Windows92.33%-4.28pt
Linux5.33%+3.10pt
macOS2.35%+1.19pt

Windows内部では、Windows 11が66.85%(+10.57pt)に伸びた一方でWindows 10は25.36%(-14.89pt)に大幅減少しています。2025年10月にWindows 10のサポートが終了したことで、Windows 11への移行とLinuxへの乗り換えが同時に進んでいる構図です。

なぜ3ヶ月で倍増したのか

Linuxのシェアは2025年10月に初めて3%を超え、その後じわじわと上昇してきましたが、3月に一気に5%台へ跳ねました。この急伸にはいくつかの背景があります。

SteamOS・Steam Deckの存在感が最大の要因です。Linux内部のディストリビューション分布を見ると、SteamOS Holoが24.48%を占めており、約4人に1人がSteam Deck(またはSteamOS搭載デバイス)ユーザーです。Steam Deckの累計販売台数はIDCの推計で約400万台に達しており、ハンドヘルドPC市場の約半分を占めています。

Protonの互換性向上も継続的に効いています。ValveがWineをベースに開発した互換レイヤー「Proton」により、ProtonDBのデータではSteamゲームの80%以上がLinuxで動作し、何らかの形で対応しているものを含めると約90%に達します。ValorantやFORTNITEなどカーネルレベルのアンチチートを使うタイトルはまだ動きませんが、大半のゲームは設定なしでプレイできる状態です。

Windows 10のサポート終了も追い風です。2025年10月にWindows 10のサポートが切れたあと、Windows 11のハードウェア要件を満たせないPCのユーザーが、新しいハードウェアを買う代わりにLinuxを試す動きが広がっています。Windows 10の要件を満たすPCの約40%がWindows 11にアップグレードできないとされており、これが数百万台規模のLinux候補マシンを生んでいます。

Linuxディストリビューションの内訳

Linux 5.33%の内訳を見ると、SteamOS以外にもデスクトップLinuxの多様性が見えてきます。

ディストリビューションLinux内シェア
SteamOS Holo24.48%
Arch Linux8.78%
Linux Mint 22.36.90%
Ubuntu Core 243.58%

SteamOSはArch Linuxベースのため、SteamOSとArch Linuxを合わせるとLinuxユーザーの約3分の1がArch系を使っていることになります。デスクトップLinuxとしてはLinux MintやUbuntuも健在で、「ゲームのためにLinuxを始めた人」と「もともとLinuxを使っていてゲームもするようになった人」の両方が数字を押し上げています。

この数字をどう読むべきか ── 注意点

ただし、3月の数字をそのまま受け取るには注意が必要です。

まず、2月の数字が例年より低かった可能性があります。GamingOnLinuxが指摘するように、2月は中国の旧正月でSteamの中国語ユーザー(ほぼ全員がWindows)の調査回答が集中し、相対的にLinuxのシェアが押し下げられる傾向があります。その反動で3月の数字が大きく見えている面があります。

次に、分類不能なディストリビューションが2つあり、合計で25.61%を占めています。GamingOnLinuxは、これが新しい64ビットSteamクライアントのデータ収集に起因するバグの可能性があると指摘しており、「来月は修正が入るかもしれない」と注記しています。

これらを差し引いても、Linuxの成長トレンド自体は本物です。2025年10月の3.05%から半年で5%台に乗せた流れは、SteamOS・Proton・Windows 10 EOLという構造的な要因に支えられており、一過性のノイズとは言えません。

この先何が起きるのか

ValveはLinuxゲーミングへの投資をさらに加速させています。2026年中にリリース予定の新型Steam Machineは、SteamOSを搭載したリビングルーム向けの小型ゲーミングPCで、Steam Deckの約6倍の性能を謳っています。同時に発表された「Steam Frame」はオールインワンのゲーミングPCで、どちらもSteamOSで動作します。

3月にリリースされたSteamOS 3.8では、Steam Machineのプレビューサポートが追加されたほか、グラフィックスドライバの更新、外部HDR/VRRディスプレイ対応、バッテリー消費を抑える「Memory Power Down」オプションなどが含まれています。

デスクトップLinux全体で見ても、StatCounterのデータではグローバルで約4.7%まで成長しています。Steam調査との差はあるものの、Linux全体が上昇気流にあることは一致しています。Windows 10のサポート切れ、Protonの改善、Steam Deck・Steam Machineの普及が続く限り、この流れが逆転する要因は見当たりません。

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