ブログ/記事一覧/【速報】Metaが数百人解雇、幹部にAI株報酬と9兆ドル目標
meta-restructuring-layoffs-stock-options-ai-2026-cover

【速報】Metaが数百人解雇、幹部にAI株報酬と9兆ドル目標

Metaが数百人を解雇し、同時に幹部6人にストックオプションを付与。株価6倍の9兆ドル企業を目指すAI全振り戦略の全貌。

ニュース
kkm-horikawa

kkm

Backend Engineer / AWS / Django

2026.03.277 min6 views

Metaが数百人を切り、幹部に「株価6倍」の報酬を出した

2026年3月25日、Meta(メタ)が数百人の従業員を解雇しました。Metaとは、Facebook・Instagram・WhatsAppなどのSNSを運営し、近年はAI(人工知能)開発に巨額の投資を行っているアメリカの巨大テック企業です。

その前日の3月24日、Metaは幹部6人に対して巨額のストックオプションを付与したことがSEC(米国証券取引委員会)への届出で明らかになっています。最高条件を満たした場合、Metaの時価総額は約9兆ドル(約1,350兆円)に達する計算です。これは現在、世界のどの企業も到達したことのない水準です。

一方では数百人を切り、もう一方では幹部に「株価が6倍になれば報酬を出す」と約束する。この2つの発表はわずか1日違いでした。

どの部門で何人が解雇されたのか

CNBCの報道によると、今回の解雇対象は複数の部門にまたがっています。

対象部門概要
Reality LabsVR/ARヘッドセット等を開発する部門
営業広告・法人向けセールス
採用人事・リクルーティング
FacebookSNS本体の運営チーム
グローバルオペレーション各国のオペレーション支援

Reality Labsは2026年1月にも約1,000人を解雇しています。当時の部門人数は約15,000人でしたので、わずか2ヶ月で2度目のレイオフです。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)とは、ゴーグル型の機器を使って現実とは異なる映像を見たり、現実の風景にデジタル情報を重ねて表示したりする技術のことです。

Meta広報はTechCrunchの取材に対し、「チームは定期的に再編を行い、目標達成に最適なポジションを確保している。可能な限り、影響を受けた社員に他のポジションを見つけている」とコメントしています。

幹部6人に渡された「9兆ドル」のストックオプションとは

ストックオプションとは、あらかじめ決めた価格で自社株を買える権利のことです。株価が上がれば上がるほど、権利を行使したときの利益が大きくなります。

SEC届出書によると、今回の対象者は以下の6人です。

氏名役職
Susan LiCFO(最高財務責任者)
Andrew BosworthCTO(最高技術責任者)
Chris CoxCPO(最高製品責任者)
Javier OlivanCOO(最高執行責任者)
Dina Powell McCormickPresident(社長)
Curtis MahoneyChief Legal Officer(最高法務責任者)

CEOのマーク・ザッカーバーグは対象外です。純資産が2,000億ドル(約30兆円)を超えており、追加の株式報酬は不要と判断されたとみられます。

オプションは複数の段階(トランシェ)に分かれています。最も低い条件でも株価が$1,116.08に達する必要があり、これは発表時点の株価$592.92から約88%の上昇を意味します。最高トランシェの条件は株価$3,727.12で、現在の6倍超です。この水準を達成すると、Metaの時価総額は約9兆ドルとなり、世界最高の企業価値を記録することになります。

達成期限は2028年2月14日です。この日までに株価が目標に届かなかった場合、各トランシェは2030年8月15日までの追加期間でリリースされます。2031年3月には全未行使オプションが失効します。

さらに、幹部の多くには約1億7,000万ドル(約255億円)相当の制限付き株式(RSU)も付与されています。こちらは四半期ごとにベスト(権利確定)する仕組みで、BusinessTodayが報じています

なぜMetaはAIに全振りしているのか

Metaは2026年のAIインフラへの設備投資として1,150億〜1,350億ドル(約17兆〜20兆円)を計画しています。同年の経費見通しは1,620億〜1,690億ドル(約24兆〜25兆円)です。いずれも過去最大の数字で、ウォール街もこの投資計画を支持しています。

具体的な動きとして、MetaはAIデータ分析企業のScale AI(スケールAI)に143億ドル(約2兆円)を投資し、同社の創業者であるAlexandr Wangを採用してMeta Superintelligence Labs(メタ超知能研究所)を設立しました。「超知能」とは、人間の知能を超えるAIを意味する用語で、まだ実現していない概念ですが、Metaはその研究に専門チームを立ち上げたことになります。

背景にはLlama 4(ラマ4)の不振があります。Llamaとは、Metaが開発しているオープンソースの大規模言語モデル(ChatGPTのような対話型AIの基盤技術)です。最新版のLlama 4は開発者コミュニティからの評価が振るわず、Metaは巻き返しを図る必要に迫られています。

2026年1月にはザッカーバーグ自身が「Meta Compute」(メタ コンピュート)というプロジェクトを「トップレベル・イニシアティブ」として発表しました。これは大規模なデータセンター(AIの計算処理を担う施設)を自前で構築する計画です。AI開発競争において、計算資源の確保が最大のボトルネックになっているためです。

解雇された社員と残った社員に何が起きるのか

解雇対象の社員には、一部に社内の別ポジションが提示されています。ただし、転勤を伴うケースもあるとBloombergが報じています。別ポジションを受け入れなければ退職となります。

残った社員にとっても、状況は楽ではありません。Reality Labsは2ヶ月前にも大規模な解雇を実施しており、「次は自分かもしれない」という不安は避けられません。Metaの事業の軸足がSNSからAIへ明確に移りつつある中で、AI関連以外の部署に所属する社員は、自分のスキルセットが今後も必要とされるかどうかを考えざるを得ない状況です。

幹部に付与されたストックオプションの最低条件が「株価88%上昇」であることからも、Metaが社内に求めている成長水準が見えてきます。この目標を達成するために、組織の再編は今後も続く可能性があります。

今後どうなるのか

事実を整理すると、Metaは2026年に入ってから2度にわたりReality Labsを含む部門で大規模な人員削減を行いました。同時に、幹部には株価が最大6倍になった場合に行使できるストックオプションを付与し、AIインフラには年間1,000億ドル超を投じる計画です。Scale AIへの143億ドルの投資とMeta Superintelligence Labsの設立も、AIへの集中投資の一環です。

今後の焦点は3つあります。まず、Llama 4の不振を受けた次世代モデルがどこまで競争力を取り戻せるか。次に、Meta Computeの大規模データセンター構築が計画通りに進むか。そして、幹部のストックオプション条件である株価$1,116.08を2028年2月までに達成できるかどうかです。

数百人の解雇と幹部への巨額報酬が同じ週に発表されたことは、AIへの経営資源の集中が「一般社員の雇用」と引き換えに行われている構図を示しています。テック業界全体で同様の傾向が続いており、Metaの動きは今後の業界の方向性を占う指標になりそうです。

参照元