トップ/記事一覧/NEHOPS(ネホップス)とは?NECのホテル基幹システムと2026年刷新を解説
nehops-nec-hotel-pms-jtas-cleaning-integration-explainer-cover-ja

NEHOPS(ネホップス)とは?NECのホテル基幹システムと2026年刷新を解説

NEHOPS(ネホップス)は、NECが提供するホテルの基幹業務システムです。予約・フロント・会計を一つにまとめ、クラウド型では国内で約7割のシェアを占めます。NEHOPSとは何か、約1,000施設の導入規模、2026年度の全面刷新「NEHOPS+」で何が変わるのかまで、わかりやすく解説します。

ラボ2026年6月15日公開最終更新 2026年6月29日
目次
この記事のポイント

NEHOPS(ネホップス)は、NECが提供するホテルの基幹業務システムです。予約・フロント・会計を一つにまとめ、クラウド型では国内で約7割のシェアを占めます。NEHOPSとは何か、約1,000施設の導入規模、2026年度の全面刷新「NEHOPS+」で何が変わるのかまで、わかりやすく解説します。

NEHOPS(ネホップス)は、NEC(日本電気)が提供するホテルの基幹業務システムです。宿泊予約からフロントのチェックイン、客室の管理、レストランや宴会、会計までを一つにまとめて扱う、いわばホテルの「頭脳」にあたる仕組みで、クラウド型としては国内で約7割のシェアを占めるとされ、約1,000のホテルに導入されています。出張や旅行でチェックインするとき、その裏側で動いているシステムの有力な候補がこのNEHOPSです。

名前を検索しても、出てくるのは製品紹介や比較サイトばかりで、「結局どんなシステムなのか」「いま何が変わろうとしているのか」がつかみにくいかもしれません。この記事では、NEHOPSとは何のためのシステムで誰が使うのか、どこで使われているのかという基本から、2026年度に始まる全面刷新「NEHOPS+(ネホップスプラス)」で何が変わるのか、そして客室清掃システムとの連携といった最近の動きまでを、専門用語をかみ砕きながら順に整理します。

NEHOPS(ネホップス)とは何か

NEHOPSは、ホテル業界で「PMS(ピーエムエス、Property Management System=施設管理システム)」と呼ばれる種類のソフトです。宿泊予約の登録、フロントでのチェックイン・チェックアウト、客室の割り当て、レストランや宴会の予約、購買、そして売上の会計まで、ホテルを動かすのに必要な事務作業を1つにまとめて扱います。読み方は「ネホップス」で、NECが1990年代から提供してきた歴史あるブランドです。

NEHOPSの特徴は、これらの機能が最初から1つの統合システムとして設計されている点にあります。予約の担当者、フロントの係員、経理の担当者が別々のソフトを使うのではなく、同じシステム上で情報を共有できます。たとえば予約サイトから入った予約が自動で取り込まれれば、手入力のミスや二重予約を防ぎ、売上の分析もすぐに行えます。提供形態はクラウド型(インターネット経由で使うサービス)が中心で、システムの運用はNEC側の専任オペレーターが担うため、ホテルに専門のIT部門がなくても導入・運用できるのが強みです。

NEHOPSでできること(予約・フロント・会計を一つにまとめる)

もう少し具体的に、NEHOPSが扱う仕事を整理します。大きくは「お客さまと接する業務」と「ホテルを経営する業務」の両方をカバーしているのがポイントです。

業務の領域NEHOPSが扱う主な仕事
予約・フロント宿泊予約の登録、チェックイン・
チェックアウト、客室の割り当て
レストラン・宴会飲食・宴会の予約管理、
料飲の売上管理
顧客管理(CRM)宿泊履歴・応対履歴・食事の
好みやアレルギー情報の一元管理
経営・バックオフィス購買、会計、売上の集計・分析

とくに顧客管理(CRM=顧客との関係を記録・活用する仕組み)を備えている点は、単なる予約システムとの違いです。宿泊履歴や過去のやり取り、苦手な食材やアレルギーといった情報を一元的に管理できるため、「前回と同じ枕をご用意する」といった、ホテルらしいきめ細かな接客につなげられます。フロントの裏側で地味に効いてくる部分です。

どこで使われているのか(導入規模と代表的なホテル)

導入実績は公表されているもので約1,000施設規模にのぼります。具体的な施設名としては、名古屋モンブランホテル、浅草ビューホテル、倉敷アイビースクエア、沖縄かりゆしグループのリゾートホテルなどが導入事例として紹介されています。NEC本体のほか、NECネクサソリューションズやNCS&A;、三和コンピュータといった販売・サポートのパートナーを通じても提供されており、地方のホテルにも広く行き渡っています。

一方で、誰もが名前を知る最上位の大手チェーン(帝国ホテルやニューオータニといった個別名)について、NEHOPS導入を明示した公表情報は限られます。シェアの大きさからすると多くの施設で使われていると考えられますが、本記事では確認できた事例にとどめます。大型のシティホテルから、フロント業務を絞った宿泊特化型ホテル、全国チェーンまで、規模や業態を問わず使われているのが実態です。

2026年の全面刷新「NEHOPS+」で何が変わるのか

いまNEHOPSを取り巻く最大の動きが、全面刷新版「NEHOPS+(ネホップスプラス)」です。NECは2025年11月に刷新を表明し、2026年2月の国際ホテル・レストラン・ショー(HCJ)で初公開、2026年度から順次提供を始めるとしています。長く使われてきた基幹システムを土台から作り直す取り組みで、これからNEHOPSを検討する人にも、すでに使っているホテルにも関わる話です。何が変わるのか、要点を整理します。

変わる点これまでのNEHOPSNEHOPS+
使う場所・端末専用線が前提、
主にフロントの端末
完全クラウド化。客室・ロビー・
廊下からPC/タブレット/スマホで
他システム連携個別の作り込みが中心標準APIを整備。
決済・モバイルキー等とつなぎやすく
画面・操作従来型の画面デザイン全面刷新、
ドラッグ&ドロップ、英語対応

1つ目は完全クラウド化です。これまでのNEHOPSは専用線(そのホテル専用に引いた通信回線)を前提としていましたが、NEHOPS+はインターネット接続に対応し、フロントだけでなくバックオフィス・ロビー・客室・廊下から、PC・タブレット・スマートフォンで使えるようになります。専用線が不要になれば、回線まわりのコストや工事の手間も変わってきます。

2つ目は標準APIの整備です。API(エーピーアイ=ソフト同士がデータをやり取りする窓口)を、ホテル業界で広く使える共通仕様でそろえます。決済、顧客管理(CRM)、スマホを鍵にするモバイルキー、セルフチェックイン機、電話交換機(PBX)などと外部連携するための標準APIを用意し、国際標準の「HTNG Express」という規格への準拠も視野に入れています。NECは、これによりホテル側の接続コストや、つなぐまでにかかる時間を減らせるとしています。要するに、後述する清掃システムとの連携のように、外部サービスを組み合わせやすい土台になる、ということです。

3つ目は画面とセキュリティの刷新です。画面デザインは全面的に作り直され、ドラッグ&ドロップや画面分割などで操作しやすくなり、英語にも対応します。安全面では、企画段階からセキュリティを組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を採り、NEC独自の専用ブラウザ上で動かして端末に閲覧履歴やキャッシュ(一時データ)を残さない設計とされています。なお、導入価格や販売目標の数字は非公開です。これからPMSを選ぶなら、現行のNEHOPSとNEHOPS+のどちらが提供されるのか、移行の時期はいつかを、NECや販売パートナーに確認しておくと安心です。

他システムとの「連携」とは(客室清掃システムJtasの例)

標準APIで外部とつなぎやすくする流れを、具体例で見ておきます。NECは2026年6月11日、清掃管理システムを手がける株式会社Edeyans(イーデヤンス)と、NEHOPSと客室清掃システム「Jtas(ジェイタス)」の連携を強化したと発表しました。Jtasは、どの部屋を・誰が・どんな指示で清掃するかを管理する清掃専用のシステムで、清掃指示書の自動作成や実績の集計を行い、生成AIによる忘れ物の管理や多言語対応を備え、観光庁の人材不足対策事業にも取り上げられています。

ここでいう「連携」とは、2つのシステムをAPIでつなぎ、予約や宿泊の情報を持つNEHOPSから、清掃現場で使うJtasへ、清掃に必要なデータを渡せるようにすることです。2024年10月に始まった第1段階では清掃指示書の自動作成などを実現し、2026年6月の第2段階で「速さ」と「中身」を一段引き上げました。具体的には、手配品(追加アメニティやベビーコットなど)やリクエストの情報が、これまでの1日1回(日次)から必要なときにすぐ届くリアルタイム連携になり、フロントが自由に書き込むメモ(フリーメモ)の内容をAIが読み取って清掃指示へ自動反映し、ベビーコット数・部屋の変更・早着/延泊といった連携項目も増えました。重要なのは、ここでやり取りするのは清掃に関係する情報だけで、宿泊客の氏名などの個人情報は連携の対象に含めない設計だという点です。便利さと引き換えに個人情報を広げない、堅実な切り分けがなされています。

利用者と現場の体験はどう変わるのか

宿泊客の側から見ると、いちばん分かりやすいのは「頼んだものがきちんと用意されている」確率が上がることです。たとえば赤ちゃん連れでベビーコットを追加した、加湿器を借りたい、といった当日のリクエストが、清掃・準備の担当へ即座に正確に伝わるため、部屋に着いたら頼んだはずのものがない、という残念な体験が減ります。多言語対応により、外国人の宿泊客の要望も言葉の壁で取りこぼしにくくなります。NEHOPS+でスマホやタブレットからどこでも操作できるようになれば、こうした対応のスピードはさらに上がるはずです。

従業員の側では、フロントと清掃現場の間の電話・口頭での伝達が減ります。これは単なる時短にとどまりません。口頭の伝達は聞き間違いや伝え忘れが起きやすく、その確認や謝罪に追われること自体が現場の負担でした。情報がシステム上で正確に流れれば、ミスが減り、確認のやり取りも減ります。人手不足が深刻なホテルの現場にとって、限られた人数で品質を保つための下支えになります。外国人スタッフが多い現場では、言語に依存せず指示が届くことの価値はさらに大きいでしょう。

基幹システムだからこそ注意したいこと(筆者の見解)

ここからは事実の整理ではなく、筆者の見解を含む分析です。便利になる一方で、システムを深くつなぎ、クラウドに集約するということは、新しいリスクも生みます。冷静に見ておくべき点を挙げます。

まず評価したいのは、清掃連携で個人情報を連携の対象に含めない設計です。必要なものだけに絞る切り分けは、情報漏えいの面で堅実な判断だと筆者は考えます。一方で注意したいのは、リアルタイム連携や完全クラウド化によって、システム同士・ネットワークへの依存が強くなることです。1日1回のやり取りなら片方が一時的に止まっても影響は限定的でしたが、即時連携では、どちらかが不調になると清掃オペレーションへ直ちに影響が及びやすくなります。とりわけNEHOPSはクラウド型で約7割のシェアを持つ基幹システムです。基幹が止まれば影響は1施設にとどまらず広範囲に及びうる、という構造は、当サイトで先に取り上げたANAの基幹システム移行の混乱とも地続きの論点です。なお、NEHOPS自体に重大な障害が起きたという公表情報は確認していません。あくまで一般論として、利便性と引き換えに依存度が上がる、というトレードオフを指摘するものです。

もう一点、AIが自由記述を解釈して清掃指示に変える仕組みには、解釈ミスの可能性が常につきまといます。AIが抽出した指示が現場でそのまま実行される設計であれば、誤読がそのままサービスの不備につながりかねません。人が最終確認する余地をどこに残すかが、品質を左右するでしょう。これらは「だから刷新や連携をすべきでない」という話ではなく、便利さを取りに行くほど、止まったときと間違えたときの備えが重要になる、という当たり前の裏返しです。

まとめ

NEHOPS(ネホップス)は、予約・フロント・会計・顧客管理を一つにまとめた、NECのホテル基幹システムです。クラウド型では国内で約7割のシェアを持ち、約1,000のホテルで使われています。そしていま、2026年度から始まる全面刷新「NEHOPS+」で、完全クラウド化・標準APIによる外部連携・画面刷新へと大きく舵を切ろうとしています。客室清掃システムJtasとのリアルタイム連携は、その「外部とつなぎやすくする」流れを先取りした一例と言えます。

普段は宿泊客の目に触れない裏側のシステムですが、こうした刷新と連携の積み重ねが、チェックインのスムーズさや、頼んだものが用意されている安心感として表に現れます。便利さを支える基幹システムへの依存が高まるほど、その安定運用の重要性も増していく——ホテルDXの今後を見るうえで、覚えておきたい視点です。

よくある質問

NEHOPS(ネホップス)とは何ですか?

NEC(日本電気)が提供するホテルの基幹業務システム(PMS)です。宿泊予約、フロントのチェックイン、客室管理、レストランや宴会、会計までを一つにまとめて扱います。クラウド型で提供され、クラウド型PMSとしては国内で約7割のシェアを占めるとされ、約1,000のホテルに導入されています。

NEHOPSはどんなホテルで使われていますか?

大型のシティホテルから宿泊特化型ホテル、全国チェーンまで幅広く使われています。公表されている導入事例には、名古屋モンブランホテル、浅草ビューホテル、倉敷アイビースクエア、沖縄かりゆしグループのリゾートホテルなどがあります。

NEHOPS+(ネホップスプラス)とは何ですか?何が変わりますか?

NECが2026年度から順次提供する、NEHOPSの全面刷新版です。完全クラウド化で専用線が不要になり、PC・タブレット・スマートフォンから場所を問わず使えます。決済やセルフチェックイン機などと外部連携するための標準API(国際標準HTNG Expressへの準拠も視野)を整え、画面デザインも全面的に刷新されます。導入価格や販売目標は非公開です。

客室清掃システムJtasとの連携で何が変わったのですか?

手配品やリクエストの情報が、これまでの1日1回(日次)からリアルタイムでの受け渡しに変わりました。さらにフロントの自由メモをAIが解析して清掃指示へ自動反映し、連携する項目(ベビーコット数や部屋変更情報など)も拡張されました。

宿泊客の個人情報は外部システムと連携されるのですか?

NEHOPSと客室清掃システムJtasの連携では、清掃に関係する情報のみをやり取りし、宿泊客の氏名などの個人情報は連携の対象に含めない設計とされています。

更新履歴

  • 2026年6月29日:「NEHOPSとは」を軸に全面改稿。2026年度提供の全面刷新「NEHOPS+」(完全クラウド化・標準API・画面刷新)の解説を追加し、構成を再整理。
  • 2026年6月15日:初版公開(6月11日のNEC・Edeyans発表を受けて作成)。

参照元

avatar-m-1

堀川 慎

Backend Engineer / AWS / Django / Go