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【速報】OpenAI IPO内紛、CFOが「準備できていない」とAltmanに反発。年間2.1兆円赤字のなか上場は実現するのか

OpenAIのCFO Sarah FriarがSam AltmanのIPO計画に異議。年間140億ドルの赤字、Sora終了、幹部離脱、Musk裁判が同時進行するなかで何が起きているのかを解説します。

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Backend Engineer / AWS / Django

2026.04.068 min1 views
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OpenAIのCFO Sarah FriarがSam AltmanのIPO計画に異議。年間140億ドルの赤字、Sora終了、幹部離脱、Musk裁判が同時進行するなかで何が起きているのかを解説します。

OpenAIのCFO(最高財務責任者)Sarah Friarが、CEOのSam Altmanが推し進める2026年第4四半期のIPO(新規株式公開)計画に対し、「まだ準備ができていない」と社内で異議を唱えていることがThe Informationの報道で明らかになりました。

問題はタイミングだけではありません。Friarはすでに一部の財務関連の会議から外されており、報告先もAltmanからアプリケーション事業責任者のFidji Simoに変更されています。年間140億ドル(約2.1兆円)の赤字が見込まれるなか、Sora終了、幹部の相次ぐ離脱、そしてElon Muskの裁判が控えるOpenAIの内部で、いったい何が起きているのでしょうか。

CFOが「準備できていない」と言い切った理由

複数のメディアが報じたところによると、FriarがIPOに反対している理由は大きく3つです。

1つ目は、組織のIPO準備が追いついていないこと。上場企業に求められる内部統制やコンプライアンス体制の整備が、2026年末までに完了する見込みが立たないとFriarは判断しています。

2つ目は、巨額のインフラ投資の不透明さ。OpenAIは今後5年間で6,000億ドル(約90兆円)を超えるクラウドサーバー契約を結んでいます。Oracle、Microsoft、AWS、CoreWeaveなどとの長期契約ですが、「売上の伸びが鈍化しているなかで、これだけの支出を正当化できるのか確信が持てない」とFriarは指摘しています。

3つ目は、黒字化までの道のりの長さFortuneが入手した財務資料によると、OpenAIが黒字化するのは2029年から2030年の見通しです。それまでに累計2,000億ドル(約30兆円)以上のキャッシュを燃やす計算になります。赤字のまま上場すること自体は珍しくありませんが、この規模は前例がありません。

日本語訳

独占: OpenAIのCFOが、CEOのSam Altmanの野心的なIPO時期と一部のクラウド契約について、非公式に懸念を表明している

Altmanが強行する背景にあるもの

一方のAltmanは、IPOを急ぐ理由があります。Wall Street Journalによると、AltmanはAnthropicより先に上場することを強く意識しています。Anthropicも2026年後半の上場を検討しており、「生成AIスタートアップとして初の大型IPO」という看板を巡る競争が起きています。

OpenAIはすでにIPOの準備を進めています。チーフ・アカウンティング・オフィサーとIR(投資家対応)責任者を採用し、ウォール街の複数の投資銀行と非公式な協議を開始しています。想定時価総額は1兆ドル(約150兆円)規模とされています。

ただし、Altman自身も心の内は複雑なようです。あるインタビューで「プライベートカンパニーでいるのは素晴らしいことだ」と述べたうえで、上場について「ワクワクする部分もあるし、本当に面倒になる部分もあると思う」と語っています

年間140億ドルの赤字、OpenAIの財務はどうなっているのか

まず売上から見てみましょう。OpenAIの年間売上は2024年の約60億ドルから、2026年2月時点で年換算250億ドル(約3.7兆円)まで急成長しています。ChatGPTの有料ユーザーとAPI利用の拡大が牽引しています。

しかし、それを上回る勢いでコストが膨らんでいます。2026年の損失は約140億ドルと予測されており、これは2024年の約50億ドルの損失からほぼ3倍に拡大しています。売上130億ドルに対して損失140億ドルという、売上を上回る赤字を出し続ける見通しです。

項目2024年2025年2026年(予測)
売上約37億ドル
(約5,500億円)
約214億ドル
(約3.2兆円)
約250億ドル
(約3.7兆円)
損失約50億ドル
(約7,500億円)
約80億ドル
(約1.2兆円)
約140億ドル
(約2.1兆円)
評価額1,570億ドル3,000億ドル8,300億〜
1兆ドル(想定)

コスト構造の中心はAIの推論に使うサーバーの運用費です。OpenAIはOracle(約3,000億ドル)、Microsoft(約2,500億ドル)、AWS(約1,380億ドル)などと大規模なサーバーレンタル契約を結んでおり、合計で6,650億ドル以上に達しています。

CFOの「排除」は何を意味するのか

今回の報道でもっとも目を引くのは、FriarがAltmanの直属から外されたという事実です。

Friarは2024年6月にOpenAIのCFOとして入社しました。前職はNextdoor(地域SNS)のCEOで、それ以前はSquare(現Block)のCFOを務めた人物です。IPOの経験も持っています。

ところが、PYMNTS.comの報道によると、Friarの報告先はいつの間にかAltmanからFidji Simoに変更されていました。さらに、Altmanは一部の投資家向け会議からFriarを外しているとされています。

上場を控えた企業で、CFOがCEOの直属から外されるのは異例です。IPOの準備を実務面で主導するのはCFOの役割であり、その人物がCEOと直接やりとりできない状態は、投資家にとっては大きな懸念材料になります。

ただし、両者は公式には「コンピュート戦略について足並みは揃っている」と述べています

Sora終了、幹部離脱、3つの問題が同時に進行している

IPO内紛が表面化した背景には、OpenAI全体で複数の問題が同時進行している状況があります。

Soraの終了(3月24日発表)

OpenAIの動画生成AI「Sora」は、1日あたり約100万ドルのコストを消費していたにもかかわらず、サービス全体の累計売上はわずか210万ドルでした。ユーザー数はピーク時の約100万人から50万人未満に減少。アプリは4月26日に、APIは9月24日に終了します。Disneyが予定していた10億ドルの投資も白紙になりました。

幹部の相次ぐ異動・離脱(4月3日発表)

4月3日に発表された人事異動では、COOのBrad Lightcapが「特別プロジェクト」担当に異動。アプリケーション事業CEOのFidji Simoは神経免疫疾患(POTS)の再発で数週間の病気休暇に入りました。CMO(最高マーケティング責任者)のKate Rouchは乳がんの治療に専念するため退社しています。1週間で3人の幹部が実質的に離脱したことになります。

Musk裁判(4月27日開始予定)

OpenAIの共同創業者であるElon Muskが「OpenAIは非営利の理念を裏切った」として提起した訴訟の陪審裁判が、4月27日にオークランドで始まります。Muskは790億〜1,340億ドルの損害賠償を求めており、裁判は4週間の予定です。IPO申請中に数百億ドル規模の訴訟が進行するのは、投資家にとって無視できないリスクです。

OpenAI IPO問題の時系列

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「AI業界バブルの炭鉱のカナリア」という声も

SNS上では、OpenAIの状況をAI業界全体のリスクシグナルと見る意見が広がっています。

日本語訳

これは驚くことではないし、OpenAIだけの話では終わらない。地球上で最もリッチな企業が費やし、貸し出しているすべての資本をもってしても、バブルの定義からして十分な時間を稼ぐことはできない。政府はAIバブルを救うためにあらゆる手を尽くすだろう。市場を救うために

映画『マネー・ショート』のモデルとして知られる投資家Michael Burryは、OpenAIの財務状況について「これは驚くことではないし、OpenAIだけの話では終わらない」とXに投稿。AI関連のインフラ投資全体がバブルの様相を呈しているとの見方を示しました。

日本語訳

OpenAIがIPO前の申請書で投資家に対し「Microsoftは当社のビジネスにとってリスクである」と伝えていたことが判明。Microsoftから資金を受け取り、コンピュートの大半を提供してもらい、最大の販売パートナーになってもらったうえで、「リスク」と呼ぶ

また、OpenAIがIPO申請書類のなかでMicrosoftを「ビジネスリスク」として記載していたことも話題になっています。Windows Centralが指摘したように、OpenAIの最大の出資者であり、コンピュートの大部分を提供しているMicrosoftとの関係には、すでに緊張が生まれています。

IPOは実現するのか

現時点の情報を整理すると、2026年内のIPO実現にはいくつもの障壁があります。

CFOが「準備できていない」と公に報じられた時点で、投資銀行側も慎重にならざるを得ません。Friar自身は2027年上場を推しており、2026年後半に上場申請(S-1)を行うスケジュール感を示唆しているとされています。

Musk裁判は4月27日から4週間の予定で、仮に不利な判決が出れば、数百億ドルの賠償命令がIPO計画を根底から覆す可能性があります。裁判官はMuskの損害賠償額の算定根拠には懐疑的ですが、「証拠は十分にある」として裁判自体の実施を認めています。

Fortune は「OpenAIのIPOは、投資家がAIブームの"焼却炉"をどこまで許容するかの試金石になる」と表現しています。売上の成長速度は印象的ですが、それを上回るペースでコストが膨らんでいる状況は、1990年代後半のドットコムバブル期の企業群を思い起こさせます。

OpenAIの物語は「夢と現実の衝突」のフェーズに入りました。Altmanの野心が正しいのか、Friarの慎重論が正しいのか。その答えは、この先数ヶ月で市場が出すことになります。

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