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チャレンジタッチ「ウェブページへのアクセスができません」の原因と対処

チャレンジタッチがつながらない、エラーが消えない原因と対処法をまとめました。EF-SH-C9999-0005などエラーコードの意味と自分で直せるかの一覧つき。毎月25日の教材配信日に集中して再発する仕組みと、サポート電話が46分待ちになっている現状も整理しています。

まとめ 2日前更新
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堀川 慎

Backend Engineer / AWS / Django / Go

2026.03.259 min544 views
この記事のポイント

チャレンジタッチがつながらない、エラーが消えない原因と対処法をまとめました。EF-SH-C9999-0005などエラーコードの意味と自分で直せるかの一覧つき。毎月25日の教材配信日に集中して再発する仕組みと、サポート電話が46分待ちになっている現状も整理しています。

UPDATE2026年6月21日 「ウェブページへのアクセスができません」表示の解説を追加

チャレンジタッチで「ウェブページへのアクセスができません」と出たとき、まず見るところ

お子さんのタブレットに「ウェブページへのアクセスができません」「アクセス不可」と表示されたり、「EF-SH-C9999-0005」のようなコードが出てチャレンジタッチが繋がらない状態になっているお父さん・お母さんへ。最初に結論から書きます。今日が25日前後なら、それはタブレットの故障ではなく、毎月25日の教材配信日にアクセスが集中して起きている一時的なつながりにくさであることがほとんどです。タブレットを買い替える必要はまずありません。

進研ゼミ小学講座のタブレット「チャレンジタッチ」は、2026年3月25日の10年ぶりのリニューアル初日に大規模なつながらない障害を起こしました。その障害自体は3月27日に解消しましたが、同じ「ウェブページへのアクセスができません」「繋がらない」「エラーが消えない」は、その後も毎月25日の教材配信日のたびに形を変えて再発しています。この記事では、まず画面に出ているメッセージとエラーコードの読み解き方、家でできる対処をまとめ、そのうえで「なぜ毎月25日に必ず起きるのか」という背景を、当ブログがふだん扱っているソフトウェア・インフラの視点から説明します。

「ウェブページへのアクセスができません」は何を意味するのか

チャレンジタッチのなかには、ブラウザにあたる「チャレンジウェブ」という仕組みが入っています。ここで通信に失敗すると「ウェブページへのアクセスができません」「アクセス不可」という文言や、白い画面が出ます。ベネッセの公式FAQでも「チャレンジウェブ」のページが正しく表示されない・つながらないとして案内されている症状で、原因は大きく分けて2つです。1つは家のWi-Fiやインターネット回線側の一時的な不調、もう1つがベネッセ側のアクセス集中です。とくに25日前後にこのメッセージが出ているなら、後者である可能性が高いと考えてかまいません。回線が原因かどうかは、同じWi-FiにつないだスマホでふつうにWebサイトが開けるかどうかで切り分けられます。スマホは問題なく開けるのにチャレンジタッチだけ「アクセスができません」になるなら、家の回線ではなくベネッセ側の混雑が疑わしい、という見立てです。

繋がらないときにまず試す3つの対処

ベネッセのヘルプデスクが「障害」と認定していない日でも、配信日の混雑は実際に起きています。その前提で、保護者の側でできて効果が高い順に並べると、次の3つになります。

1. しばらく時間を空ける(一番効きます)

配信日のアクセス集中は、朝〜お昼にいちばん激しく、夕方〜夜に向かって落ち着いていくのがこれまでの傾向です。3月25日の初日障害も、ベネッセの公式情報では午前中がピークでした。今日の朝〜昼に「ウェブページへのアクセスができません」を引いた場合、夜まで一度タブレットを閉じておくのが現実的にいちばん効きます。子どもには「明日の朝には新しい教材が届いているはずだよ」と先に伝えておくと、エラー画面を見つめ続けるストレスを避けられます。お風呂や夕食の後にもう一度開いてみる、くらいの感覚で十分です。

2. タブレットの再起動とWi-Fiルーターの電源入れ直し

サーバー側の混雑が原因でも、タブレットを再起動するとなぜか一時的につながるケースがあります。これは、つなぎ直すときに「順番待ちの行列」に並び直す形になり、運よく早く呼ばれることがあるためです。再起動の前に、ご家庭のWi-Fiルーターも一度電源を抜いて10秒待って入れ直しておくと、家のなかのインターネット回線が原因ではないかという心配を切り分けられます。チャレンジタッチ側のWi-Fi設定をいったん消してつなぎ直す方法も、公式FAQで案内されています。

3. 「IDの再登録」は最後の手段(サポートに相談してから)

SNSでは「IDを登録し直したら直った」という声もありますが、これはこれまでの学習履歴やためたコインに影響するかもしれない操作です。必ずベネッセのサポートに相談してから実施してください。ただし後述のとおり、いまはサポート電話が40分以上つながらない状況が続いています。電話が無理ならフォーム経由の問い合わせで記録を残しておくのがおすすめです。

エラーコード一覧、先頭の文字で原因を見分ける

「ウェブページへのアクセスができません」という文言と一緒に、「EF-SH-C9999-0005」のような英数字混じりのコードが出ているときは、コードの先頭2〜3文字でだいたいの原因の見当がつきます。ここから先はベネッセが公式FAQで案内している主なコードを、わかりやすく並べ直したものです。意味の確認できないコードは「未確認」と書いてあります。最新の情報や、ここに載っていないコードについては公式の「エラーコードが出る」ページもあわせて見てみてください。

まずはコードの先頭でふるい分け

先頭の文字原因の傾向タブレットの故障?
EF- / EB- / WB-ベネッセ側のサーバーや通信に関わるエラー。
配信日の混雑、講座の設定日ずれ、
ネットの遅さなど
まず違います
BE-タブレットとインターネットの間の通信エラー。
ルーターの再起動や時間帯変更で
改善することが多いタイプ
まず違います
TE-タブレット本体側のエラー。
起動時の不具合、登録内容のずれ、
周辺機器の問題など
サポート相談が必要な
ものが混ざります

EF・EB・WB・BEで始まるコードはベネッセ側か家の回線の話TEで始まるコードはタブレットや登録の話、と覚えておくとおおよそ間違えません。「ウェブページへのアクセスができません」という文言と一緒に出やすいのは、混雑由来のEF系です。タブレットを買い直すような大ごとになるかは、ここでだいぶ絞り込めます。ただし後述のとおりTEで始まるコードのなかにも、通信の混雑が原因のもの(買い替え不要)が混ざっているので、最終的には下の対応表でコードを確認してください。

よく目にするコードと、家でできることの対応表

エラーコード何が起きているか家でできること自力で直せる?
EF-SH-C9999-0005アクセス集中による通信タイムアウト。
「ウェブページへのアクセスができません」
と一緒に出やすい。配信日の混雑が典型
夕方〜夜まで時間を空ける。
再起動も併用
時間を空ければ直る
(待つだけ)
EF-SH-C9999-0002システムエラー。混雑時に
0005とあわせて報告される
同系統のエラー
時間を空ける。
再起動も併用
時間を空ければ直る
ことが多い
EF-SH-C9999-0003講座を変更したあと、
開始日より前に設定しようと
したときに出る
受講開始月の前月25日以降に
もう一度初回設定をやり直す
25日以降の設定で
直る
EB-00-11000-0000講座開始日より前に
初回設定をしようと
したときに出る
前月の25日以降に
初回設定を始める
25日以降の設定で
直る
TE51-3KUC-6023
TE01-E1x2-D002
通信遅延・アクセス集中
(TE系のなかでも
ネットワーク寄りのもの)
Wi-Fiルーターの電源入れ直し、
時間帯を変えて再起動
回線・時間帯の
見直しで直ることが多い
BE01-01-C00-07
TE01-A1RJ-D00C
タブレットとインターネットの
間の通信遅延。
家のWi-Fi側のことが多い
ルーターの電源入れ直し、
タブレット再起動、
Wi-Fi切り替え
回線の見直しで
直ることが多い
TE01-38b1-H001
(末尾 X899 系統)
マイク・カメラなど
周辺機器との接続エラー
マイクの抜き挿し、
外付け機器を外す、
タブレット再起動
差し直しで直ることが多い。
直らなければサポートへ
TE51-D103-2003久しぶりに起動したときの
起動時エラー。本体側で
なにかが引っかかっている
無理に初期化せず、
まずサポートへ
サポート案件
(自力対処は非推奨)
TE01-0202-2001
TE51-3JUF-6023
登録内容のエラー。
会員情報や端末の
紐付けに関わる部分
触らずに
画面を写真に残しておく
サポート案件
(自力対処は非推奨)

上の対応表は2026年6月時点でベネッセ公式FAQに記載のあるコードを中心に整理しました。コードの末尾や枝番(X899やC9999のあとの4桁)はバリエーションが多く、同じ系統でも番号違いが出ます。番号がぴったり一致しなくても、先頭の文字と、上の表で近い系統を見れば、おおよその当たりはつけられます。意味の裏取りができていないコードについては、上の表には載せず、公式FAQの確認をおすすめします。

EF-SH-C9999-0005 や 0002 が出ているなら、それが今日の本題

「ウェブページへのアクセスができません」という文言と一緒にいちばん多く報告されているのが、「EF-SH-C9999-0005」(通信タイムアウト)と「EF-SH-C9999-0002」(システムエラー)です。コードに「C9999」が入っているのは「あらかじめ想定された原因ではない、混み合いによる一時的なエラー」のニュアンスで、3月25日のリニューアル初日と、その後の毎月25日の配信日に繰り返し報告されているコードです。タブレット側の操作で根本解決する種類のエラーではないので、夕方〜夜まで一度閉じておくのが現実的な対処になります。「ただいま混み合っています」という案内が一緒に出ているなら、ほぼこのパターンと考えて差し支えありません。

EF-SH-C9999-0003 と EB-00-11000-0000 は「25日タイミング問題」

この2つは性質が違っていて、講座のスタート日と設定タイミングがずれているときに出ます。進研ゼミは「前月25日が学習スタート日」というルールで動いているので、たとえば4月号を申し込んだお子さんが3月20日にタブレットを開いてしまうと、このコードに当たります。配信日の混雑とは別物で、25日以降に設定し直せば消えるのが基本動作です。逆に言うと、25日を過ぎてもこのコードが消えないときは、講座変更の手続きが反映されていない可能性があるので、サポートに状況を伝えたほうが早いです。

末尾が X899 のコードはマイク・カメラ系

お尻が「X899」で終わるコードは、ベネッセ公式FAQでは周辺機器(マイク・カメラ)の接続エラーとして案内されています。検索で似たような番号違いのコード(「00601-X899」「00701-X899」など)に当たったときも、おそらく同じ系統で、マイクやカメラなどタブレットに挿す側の機器を疑うのが先です。差し直しと再起動でだいたい収まりますが、別のマイクで試しても出るなら、タブレット側の端子が傷んでいる可能性があるのでサポートに相談してください。

TE で始まる D103-2003・0202-2001・3JUF-6023 は触らずに連絡

TEで始まるコードのなかには、家でできることがほとんどない種類のものがあります。久しぶりに起動して「TE51-D103-2003」が出るときや、登録内容のエラーである「TE01-0202-2001」「TE51-3JUF-6023」が出るときは、無理に再起動を繰り返したり初期化したりせず、エラー画面を写真に撮ってサポートに連絡するのがいちばん早いです。学習履歴を巻き戻してしまう操作を保護者の側で先にやってしまうと、後で復旧が難しくなるケースがあります。

コードが出ずに「白い画面」「20分ロード」で繋がらない場合

エラーコードが出ずに白い画面のまま固まる、ロードがずっと終わらない、というケースは、後述する「アクセス集中で応答が返ってこないまま待たされている」状態である可能性が高めです。コードが画面に出ないので公式FAQでも該当ページにたどり着きにくいのですが、対処としては「EF-SH-C9999-0005」と同じく、夕方〜夜まで時間を空けるのが現実的です。それでも翌日まで同じ状態が続くなら、コードなしの症状であってもサポートに連絡しておいて損はありません。

3月のリニューアルから今日までの時系列

3月25日のリニューアル以降、確認できている主な「つながらない」できごとを時系列で並べると以下のようになります。左右の矢印か、スマホならスワイプで切り替えられます。

← スワイプで移動

公式が「障害」とアナウンスしたのは3月25日の初日だけです。それ以降は同じ症状が繰り返し起きているのに、保護者の側からは「いま全国で同じことが起きているのか、それともうちのタブレットだけなのか」を公式情報で確認する手段がない状態が続いています。

途中で落ちる、20分ロード、サポート電話46分待ち

5月に入ってから、SNSにはこんな投稿が並んでいます。「レッスンをやっている途中で通信が切れてログアウト状態になる」(5月14日、チャレンジパッド第6世代の利用者)。「20分ロードしている」「固まってしまう」「エラーが頻繁すぎてつらい」(5月10〜11日)。子どもが画面に向かっている最中に通信が切れる症状は、3月25日の「最初からつながらない」とはまた違う、もう一段ストレスの大きいパターンです。途中まで進めたレッスンの記録が消えてしまえば、子どもからすれば「もう一回やり直し」のショックがかなり大きい。

もう一つ深刻なのが、サポートの電話が繋がらないという声が5月になって急増していることです。「解約の電話が繋がらない」(5月21日)、「問い合わせの電話を20分以上待っている」(5月21日)、「サポート電話で46分待っているがつながらない」(5月25日)。本来は子どもがエラーで困ったときの相談窓口ですが、いまは解約の手続きで電話する保護者が増えており、その分だけ電話回線が埋まっている状態になっているようです。

エラーで困っている人と解約したい人が同じ電話番号に殺到する状態は、ベネッセにとって最も避けたい流れです。電話が繋がらない経験そのものが、保護者の「もうこれは無理だ」を後押しします。後段で触れる「失った信頼と乗り換えた顧客は戻ってこない」という見方は、いま実際にそういう循環に入りつつあると見ていいでしょう。電話がどうしてもつながらないときは、ヘルプデスクの電話予約サービスやフォーム問い合わせで記録を残しておくのが現実的です。

なぜ毎月25日に必ず繋がらなくなるのか

ここから先は、当ブログがふだん書いているソフトウェア・インフラの視点から、なぜこれが毎月起きるのかという背景の話です。「うちの子のタブレットが悪いんじゃないか」と感じている保護者の方も多いと思うので、安心して読み進めてください。これはタブレット側ではなく、ベネッセ側の配信のやり方そのものに原因があります

いまの進研ゼミは、来月分の教材を「全会員に毎月25日いっせいに配る」しくみで動いています(配信日は前月25日、たとえば6月号の配信日は5月25日)。例えるなら、人気アニメを全国に同時に放送するのと同じです。100万人規模の小学生が25日の朝、同じ番組(教材データ)をいっせいに受信しようとするので、ベネッセ側の電波塔(サーバー)に問い合わせが殺到し、後ろのほうは「ウェブページへのアクセスができません」になる——これが毎月25日に起きていることの正体です。

同じ「100万人に同じデータを届ける」課題は、ほかの業界ではとっくに別のやり方で解いています。たとえば家庭用ゲーム機は、新しいゲームの配信日が決まっていても、予約しておけば前日の夜のうちにバックグラウンドで勝手にダウンロードしておいてくれます。朝起きたらもう遊べる状態です。Windowsの更新も、ユーザーが寝ているあいだに更新ファイルをこっそり落としておいて、朝には「準備完了」になっています。チャレンジタッチも前日夜のうちにWi-Fi経由で教材データを落としておけば、朝は差分の同期だけで済んだはずです。

もう一つは「全員に同じ瞬間に配らない」やり方です。テレビでも全国を一気に切り替えるのではなく、地域ごとに少しずつ時間をずらして放送するチャンネルがあります。Windowsの更新も「最初は一部のパソコンに、次の日にまた一部、というふうに数日かけて全体に届ける」やり方を採用しています。チャレンジタッチも、たとえば「学年ごとに配信日を分ける」「地域ごとに配信時間をずらす」だけで、25日朝のピークは大きく下がるはずです。

ベネッセはお詫びとしてコイン400枚を配布するなどの対応はとっていますが、配信日そのものを分散させる対策——前日の夜にバックグラウンドで落としておく、学年ごとに配信日を分ける、地域ごとに時間をずらす——は、いまのところ発表されていません。コインのお詫びは「起きてしまった後の補償」であって、来月またつながらなくなる予防にはなりません。技術的にはすでに他業界で確立されている方法を採用するだけで、毎月のフリーズは大きく緩和できる類の問題です。エンジニア目線で言えば、これは「直せないから直していない」のではなく、「いまの配信設計のまま運用しているから毎月再発している」状態に見えます。

外から見えるベネッセのインフラ構造

障害の中心はタブレットアプリ側のサーバーなので、外部からの調査には限界があります。ただ、ベネッセの公開Webサイトのインフラ構造を見ると、いくつかのことがわかります。

サイトCDNサーバー応答速度
(TTFB)
sho.benesse.co.jp
(小学講座)
ImpervaAzure App Gateway
+ Apache
0.17〜0.30秒
faq.benesse.co.jp
(ヘルプデスク)
なしnginx
(NTT PC直収容)
1.1〜2.0秒
czemi.benesse.ne.jp
(会員ページ)
ImpervaAzure App Gateway
+ Apache
0.32〜0.39秒

小学講座のWebサイト自体はImperva(旧Incapsula)のCDNとAzure Application Gatewayの組み合わせで、外部からのアクセスには問題なく応答しています。ところが、障害情報を掲載しているヘルプデスク(faq.benesse.co.jp)はCDNを通さずnginxサーバーに直接つながっており、応答に1〜2秒かかります。障害発生時にユーザーが殺到する場所がCDNなしというのは、やや気になる構成です。

ただし、今回の障害の本丸はWebサイトではなくタブレットアプリのバックエンドです。ここが重要なのですが、ログインや教材ダウンロードといったAPIは、CDN(よく見られる中身を世界中の拠点にコピーしておいて肩代わりさせる仕組み)では守れません。CDNが効くのはトップページの画像やCSSのような「誰がアクセスしても同じ中身を返すもの」だけです。ログイン認証はユーザーごとに結果が違いますし、教材ダウンロードも学年や受講内容によって返すデータが変わります。こうしたAPI処理はキャッシュが本質的に効かないので、リクエストの1つ1つがバックエンドのサーバーまで到達します。

つまり、100万人が同時にタブレットを開けば、100万件のAPI呼び出しがそのままサーバーに降ってくるわけです。これに耐えるには、アプリケーションサーバーを瞬時に増やせる仕組み(たとえばコンテナを自動で増減させるKubernetesのような基盤)や、データベースのリードレプリカ(読み取り専用の複製)を用意して負荷を分散する構成が求められます。

今回の障害パターン、つまり「特定の日の特定の時間帯に全ユーザーが一斉になだれ込む」負荷は、年間を通じて見れば数日しか発生しません。普段のアクセス量に合わせたサーバー構成では耐えられないし、かといってピークに合わせて常時サーバーを用意するのはコストの無駄です。だからこそ、必要なときだけサーバーを増やしてピークが過ぎたら減らす、クラウドネイティブな設計が大切になります。ベネッセの既存のWebサイトがAzure上で動いていることを考えると、バックエンドのAPI基盤もAzure上にある可能性が高い。技術的にはサーバーを増やす手段はあるはずで、問題は新システムの負荷試験が十分だったのか、あるいは自動でサーバーを増やす設定が間に合っていなかったのか、という点になります。

他の業界は同じアクセス集中をどう捌いているのか

「100万人が同時にでかいファイルを落としに来る」という問題は、進研ゼミだけの話ではありません。ゲーム業界やOS配信では日常的に発生しており、すでに確立された対処法があります。

前日の夜に配っておく

Windows Updateは、更新ファイルをユーザーが寝ている間にバックグラウンドでダウンロードしておき、朝起きたら「準備完了」の状態にします。帯域の45%だけを使い、ユーザーの操作を邪魔しません。チャレンジタッチも前日夜のうちにWi-Fi経由で教材データを落としておけば、朝は差分同期だけで済んだはずです。

全員に同時配信しない

Windows Updateは「低学年から」「地域ごとに」のように対象を絞って波状的に展開します。Microsoftは最小100台のグループに分けて、数日かけて全体に届ける仕組みを持っています。100万人のチャレンジタッチに同じ朝、同じ瞬間にコンテンツを配り始める必要はなかったはずです。

隣の端末からもらう

Windows Updateには「配信の最適化」という仕組みがあり、同じネットワーク内の端末同士でファイルを融通し合います。大企業の環境ではサーバーへのリクエストを30〜70%削減できるとされています。きょうだいで使っている家庭なら、1台目がダウンロードした教材を2台目はLAN内で受け取る。サーバーに取りに行く必要がなくなります。

ダウンロードをキューに入れる

「ただいま混み合っています」と表示してユーザーを弾くのではなく、リクエストをキュー(順番待ちの行列)に入れて順番に処理する方法もあります。ユーザーには「あと3分で準備できます」と表示して、裏では同時接続数を制御しながら配信を進める。Akamaiのダウンロード配信はこの考え方で、大型ファイルを分割してキャッシュし、途中で切れても途中から再開できる仕組みを提供しています。

いずれもサーバーを力技で増やす話ではなく、「いつ、誰に、どう届けるか」の設計の話です。今回のチャレンジタッチのつながらない事象は、配信日の朝という最もアクセスが集中するタイミングで、100万人規模に一斉配信を始めていることが直接の原因です。サーバーの性能が足りないのではなく、配信の設計がピークを想定していない。そこが一番の問題だと考えています。

3月のリニューアルで何が変わったのか

2026年3月25日は、進研ゼミ小学講座の10年ぶりの大規模リニューアルの開始日でした。最初の大規模障害は、ただの「アクセス集中」ではなく、この新システムへの切り替え初日に起きています。リニューアルの目玉は3つありました。

まず「AI赤ペン先生」。ベネッセが45年間蓄積してきた約4.2億枚の添削答案データを分析し、子どもの学力・学習状況・性格タイプに応じて365日声かけと指導を行うアバターです。ただし月末の「赤ペン先生のまとめテスト」は、従来どおり人間の赤ペン先生が対応します。

次にゲーミフィケーション(学習にゲームの要素を取り入れる仕組み)。東京大学の藤本徹教授の監修で、学習するとゲーム的な報酬が得られる仕組みを導入しました。ホーム画面にはヒャダイン氏作曲のテーマソング「ベンキョーアドベンチャー!」が流れます。

3つ目は保護者向けアプリの強化。子どもの学習進捗や理解度をリアルタイムで報告し、「今日はここを頑張ったので褒めてあげてください」といった具体的なアドバイスをプッシュ通知で送る仕組みです。月額料金は1年生で月3,300円(12カ月一括払い)、対象は小学1年〜6年生です。

これだけの刷新を、子どもが自宅でタブレットを開く時間が増える春休み初日の朝にぶつけたことが、初日障害の引き金になりました。同じ構造の障害は、2026年1月のハローワーク(全面リニューアル初日に3日間停止)や全銀システム(2023年の更新時の障害)でも起きています。共通しているのは「普段の何倍ものアクセスが、特定の日の特定の時間帯に集中する」構造です。

保護者の解約と、ベネッセにとっての本当の問題

子ども向けサービスのつながらないは、一般的なWebサービスの障害よりもダメージが大きい面があります。大人なら「あとで試そう」で済みますが、子どもは「楽しみにしていたものが使えない」という体験がそのまま学習意欲の低下につながりかねません。10年ぶりのリニューアルで「ゲーミフィケーション」を売りにしているだけに、つまずきが続くのは厄介です。

ベネッセにとっての本当の問題は、つながらないが一時的に直ることではないでしょう。進研ゼミの会員数は減少傾向にあり、ベネッセはMBOによる上場廃止(経営陣による買収で株式市場から退くこと)を経て立て直しの最中です。10年ぶりの勝負をかけたリニューアルが「毎月25日につながらない」を引きずるのは、サービスへの信頼という意味で痛手です。

SNSに出ている「スマイルゼミに乗り換える」「解約する」という声は、単なる不満の表明ではなく実際のビジネス損失につながります。子ども向け通信教育は「やる気になったタイミング」を逃すと戻ってきません。新しい学年の勉強を始めようとタブレットを開いた子どもが、エラー画面を見て泣いた。その体験は保護者の解約判断に直結します。つながらないは数時間で直っても、失った信頼と乗り換えた顧客は戻ってこない可能性があります。

よくある質問

「ウェブページへのアクセスができません」と出ました。タブレットの故障ですか?

多くの場合、故障ではありません。とくに25日前後にこの表示や「EF-SH-C9999-0005」が出ているなら、毎月25日の教材配信日にアクセスが集中して起きている一時的なつながりにくさです。同じWi-FiにつないだスマホでふつうにWebサイトが開けるなら、家の回線ではなくベネッセ側の混雑が疑わしい状態です。夕方〜夜まで時間を空けてから開き直すのが、いちばん確実な対処になります。

EF-SH-C9999-0005 や EF-SH-C9999-0002 は自分で直せますか?

このC9999系は混雑による一時的なエラーなので、待てば直ります。タブレットの初期化やIDの再登録といった操作は不要で、むしろ学習履歴に影響する可能性があるので避けてください。配信日のピークは朝〜昼なので、いったんタブレットを閉じて夜にもう一度試すのが現実的です。あわせてWi-Fiルーターとタブレットを再起動しておくと、家の回線が原因でないかの切り分けもできます。

なぜ毎月25日前後だけ繋がらなくなるのですか?

進研ゼミは来月分の教材を「前月25日に全会員へいっせいに配信する」しくみで動いているためです。100万人規模が同じ朝に同じデータを取りに行くので、ベネッセ側のサーバーにアクセスが殺到し、後ろのほうは「ウェブページへのアクセスができません」になります。タブレット側の問題ではなく、配信の設計がピークを分散していないことが原因です。ゲーム機やWindows更新のように前日夜のうちに配っておく、学年や地域で時間をずらす、といった対策で大きく緩和できる類の問題です。

サポート電話が繋がりません。どうすればいいですか?

2026年5月以降、サポート電話が40分以上つながらない状況が続いています。解約の問い合わせが増えて回線が埋まっているためです。急ぎでなければ、ベネッセのヘルプデスクの電話予約サービスやフォーム問い合わせで記録を残しておくのが現実的です。エラー画面は写真に撮っておくと、後で状況を伝えるときに役立ちます。

いま起きていることを、ひとことで

3月25日の「リニューアル初日のトラブル」自体はすでに復旧していて、ベネッセはお詫びとしてコイン400枚を配布しました。ですが同じ「ウェブページへのアクセスができません」「繋がらない」「エラーが消えない」は消えておらず、毎月25日の教材配信のタイミングで形を変えて再発しています。サポート電話も、本来のサポートとしては機能していない時間帯がある状態です。次にベネッセがとるべきは、コインの追加配布ではなく配信日を分散させること、電話以外の問い合わせ手段を増やすことです。本文で挙げた「前日の夜に配っておく」「全員に同時配信しない」「ダウンロードの順番待ちで子どもを弾かない」の3つは、いまも有効な処方箋として残っています。

この記事は2026年6月21日時点の整理です。次の配信日となる6月25日にも同じ問題が再発するかどうか、引き続き本記事を更新します。配信日の前後でお子さんのタブレットが「ウェブページへのアクセスができません」になったら、この記事を思い出して「今日は配信日だった」と気づける、そんな目印として残しておくつもりです。

参照元