
SMART SPI にログインできない ― 再開はいつ? 情報漏えいで自分の大学は対象か
就活の筆記試験対策サイト「SMART SPI」が2026年4月19日から止まっています。運営元ノストラムがランサムウェア攻撃を受けたためで、8月24日時点で再開の告知はありません。福岡大学は最大33,668人分、同志社大学は学生のメールアドレスが漏えいした可能性を公表しています。
目次
就活の筆記試験対策サイト「SMART SPI」が2026年4月19日から止まっています。運営元ノストラムがランサムウェア攻撃を受けたためで、8月24日時点で再開の告知はありません。福岡大学は最大33,668人分、同志社大学は学生のメールアドレスが漏えいした可能性を公表しています。
SMART SPI はいま動いていない

就職活動の筆記試験対策サイト「SMART SPI」が、2026年4月19日から止まったままです。運営元の株式会社ノストラムが同日未明にランサムウェア(ファイルを勝手に暗号化して使えなくする攻撃)を受け、サーバーが起動しなくなったためです。この記事を確認した2026年8月24日の時点でも、再開時期の告知は出ていません。
ログインしようとしても入り口にたどり着けません。学生が使っていたログイン先は大学ごとに用意されたページ(www3.sspi.jp の下に大学別のパスが割り当てられる形)ですが、ここにアクセスすると「403 Forbidden(アクセスする権限がありません)」が返ります。サーバー自体は応答しているのに、外部からの利用だけを止めている状態です。福岡大学が対応として挙げている「外部アクセス遮断による安全な運用環境の構築」が、外から見るとこの形になります。
サービスの紹介用サイト(www.smartspi.jp)のほうは、中身のない空のページを返すだけになっていて、そのページの最終更新は2026年7月22日でした。転職者向けの「SMART SPI-G」のログイン画面(g.smartspi.jp)は、そもそも接続が確立しません。紹介サイトと学習システムはアドレスが違うため、「smartspi.jp を見たら真っ白だった」だけでは状況が分かりにくくなっています。
| 確認したもの | 2026年8月24日時点の状態 |
|---|---|
| 大学向けのログイン先(www3.sspi.jp) | 「403 Forbidden」が返る。外部からのアクセスが遮断されている |
| 転職者向け SMART SPI-G(g.smartspi.jp) | 接続できない |
| サービス紹介サイト(www.smartspi.jp) | 中身のない空のページ。最終更新は7月22日 |
| ノストラムの告知ページ | 読める。ただし2026年5月8日から更新されていない |
| 各大学のお知らせ | 福岡大学が7月9日、同志社大学が8月19日に公表 |
ノストラムは5月8日の告知で「新規環境下でシステムの再構築を行っており、早期のサービス再開を目指しています」と書いています。ただしこの告知は5月8日から一度も更新されていません。同じ告知には「本件の更なる詳細につきましては、調査が完了次第、速やかに弊社ホームページにて公表いたします」ともありますが、その続報も出ていない状態です。
自分の大学は対象なのか

2026年8月24日時点で情報漏えいの可能性を公表しているのは、福岡大学と同志社大学の2校です。SMART SPI はこの2校以外の大学でも使われていますが、他大学の公表は確認できていません。「公表がない=影響がない」とは限らないため、自分の大学が使っていたなら、キャリアセンターからの連絡を確認してください。
福岡大学(2026年7月9日公表)
対象は令和5年度から令和8年度に在籍した学生で、医学部医学科は除きます。漏えいの可能性がある情報は3つです。
- •学籍番号、生年月日(最大33,668人)
- •氏名(最大800人)※登録者のみ
- •模擬試験等の受験結果(最大33,668人)
大学は「情報窃取を示す直接的な証拠は確認されていないものの、保存データの窃取の可能性は完全に否定できない」との報告を受けたとしています。あわせて、漏えいしたデータが外部に公開された事実は確認されていない、とも書いています。
同志社大学(2026年8月19日公表)
同志社大学ではキャリアセンターが「筆記試験対策ポータル」という名前でこのサービスを提供していました。影響の可能性があるのは、利用登録のときに学生自身が入力した大学発行のメールアドレスです。すでに卒業・修了した人のアドレスは無効化済みで、現在は使えない状態だとしています。
大学は「インターネット上に公開された事実は確認されていないが、流出した可能性を完全には否定できない」としており、7月27日12時の時点では公開されていないことを確認したと書いています。
いま何をすればいいか
両大学とも「現時点で直ちに必要な対応はない」としています。クレジットカード番号やパスワードのような、すぐ悪用につながる情報は含まれていないためです。ただし気をつけたほうがいいことが2つあります。
大学や企業を装ったメールに注意する
今回漏れた可能性があるのは、学籍番号・生年月日・大学のメールアドレス・模擬試験の結果という組み合わせです。金銭に直結しない代わりに、「大学のキャリアセンターです」「就職支援システムの再登録が必要です」といった連絡を、本物らしく見せるのに使えてしまいます。学籍番号を正しく書いてある就活関連のメールは、それだけでは本物の証拠になりません。
心当たりのないメールが届いたら、リンクを踏まずに大学のキャリアセンターへ直接確認してください。同志社大学も「不審なメール等を受信した場合は、開封やリンクのクリックを控えてください」と案内しています。
SPI の練習を別の方法に切り替える
再開のめどが立っていないため、SMART SPI を当てにして対策の予定を組むのは避けたほうが確実です。市販の問題集、各社が無料公開している模擬試験、大学が別に契約している就活支援サービスなど、いま使える手段に切り替えてください。大学によっては代替のサービスを案内している場合があるので、キャリアセンターに聞くのが早いです。
問い合わせ先
福岡大学はキャリアセンター事務室(電話 092-871-6631 内線4718/shushoku@adm.fukuoka-u.ac.jp/平日8:50〜17:50)、同志社大学はキャリア支援課(電話 075-251-3310/ji-shshk@mail.doshisha.ac.jp)が窓口です。
なぜ止まったのか

ノストラムの発表によると、2026年4月19日(日)午前5時頃、VPN経由で社内ネットワークにランサムウェアが侵入し、サーバー内のデータが暗号化されて起動不可能になりました。VPNは社外から社内ネットワークへ入るための通り道で、ここを突破されると社内側に直接立てるため、被害が広がりやすい入り口です。
福岡大学の発表はもう少し踏み込んでいて、実際の侵入は4月17日だったこと、暗号化に加えて外部から不正に侵入するための裏口(バックドア)が作られていたことを書いています。サーバーが止まって異常に気づいたのが19日で、侵入自体はその2日前だったという流れです。
攻撃したと主張しているのは「The Gentlemen」というランサムウェア攻撃グループで、自分たちのサイトにノストラムを被害組織として掲載しています。被害組織の掲載を追跡している記録では、犯行声明が2026年4月27日、掲載が確認されたのが5月6日となっています。これは攻撃者側の主張であり、被害の中身を裏づけるものではありません。
この掲載は2026年8月24日の時点でも残っています。ただしそこで公開されているのは83バイトのテキストファイルが1件だけで、中身はデータの購入希望者に連絡先を伝えるものでした。学生の情報にあたるデータは置かれていません。盗んだと主張しつつ実物は出さず、買い手からの連絡を待っている状態です。
本記事は、掲載の有無とファイル一覧を確認しただけです。データ本体は取得していません。また、掲載先の所在・アドレス・連絡先など、入手経路につながる情報は一切記載しません。
ノストラムは警察と個人情報保護委員会へ報告済みで、外部の専門業者に攻撃者側サイトの監視を依頼していると書いています。脆弱性を塞ぐ対応は完了し、感染した環境とは別に新しい環境を作ってシステムを組み直している段階だとしています。
1社が止まると、複数の大学が同時に止まる

今回、福岡大学も同志社大学も、自分たちのサーバーが攻撃されたわけではありません。学生向けのサービスを外部の会社に任せていて、その会社が攻撃を受けました。大学から見れば自分の設備は無事なのに、学生の情報が漏れたかもしれない状態になり、サービスも止まる。復旧の時期も自分では決められません。
公表の時期がばらついたのも同じ理由です。ノストラムの発表が5月8日、福岡大学が7月9日、同志社大学が8月19日と、4か月にわたって分散しました。委託元それぞれが自分の学生の被害範囲を調べ終えてから出すため、こうなります。まだ公表していない大学があっても不思議ではないのは、この構造のためです。
続報の追い方
サービス再開と調査結果は、ノストラムのお知らせページで公表される予定です。自分の大学が対象かどうかは、各大学のキャリアセンターのお知らせが確実です。福岡大学は大学のニュース、同志社大学はキャリアセンターのお知らせに掲載しています。
本記事は新しい発表があった時点で更新します。
よくある質問
SMART SPI はいつ再開する?
決まっていません。ノストラムは「早期のサービス再開を目指している」としていますが、そう書いたのが2026年5月8日で、以後この告知は更新されていません(2026年8月24日確認)。同志社大学も「再開の時期は決まり次第お知らせする」としています。
ログインしようとすると「403 Forbidden」と出る。自分のパソコンの問題?
利用する側の問題ではありません。サービス側が外部からのアクセスを遮断しているため、誰がどの端末から開いても同じ表示になります。ブラウザを変えても、キャッシュを消しても、スマートフォンから開いても結果は変わりません。
自分の大学は対象?
公表しているのは福岡大学と同志社大学の2校です(2026年8月24日時点)。それ以外の大学については公表を確認できていません。自分の大学が SMART SPI を使っていたなら、キャリアセンターからの案内を確認するか、直接問い合わせてください。
学籍番号と生年月日が漏れたら何が起きる?
それだけで口座やアカウントが乗っ取られることはありません。危ないのは、その情報を使って「大学からの連絡」を装われることです。学籍番号が正しく書かれていても本物とは限らない、と考えてください。
パスワードは変えたほうがいい?
両大学の発表に、パスワードが漏えいの対象として挙げられていません。ただし SMART SPI と同じパスワードを他のサービスでも使い回している場合は、この機会に変えておくほうが安全です。
漏れたデータはもう公開されている?
両大学とも「公開された事実は確認されていない」としています。同志社大学は7月27日12時時点で公開されていないことを確認したと書いています。本記事でも2026年8月24日に攻撃者側の掲載を確認しましたが、置かれていたのは購入希望者向けの連絡先が書かれた83バイトのファイル1件だけで、学生の情報にあたるデータは見当たりませんでした。両大学の説明と食い違う点はありません。
ただし掲載そのものは続いており、福岡大学も「窃取したデータを公開する旨の告知があった」と書いています。状況が変わる可能性は残ります。
就職の選考に影響する?
選考への影響について、両大学からの言及はありません。漏えいの可能性があるのは大学が提供していた練習用サービスの記録で、企業が実施する本番の適性検査とは別のものです。
大学から連絡が来ていないけど大丈夫?
公表している2校は、対象者を個別に特定して連絡する形ではなく、大学のサイトでの告知という形をとっています。連絡が来ていないことは、対象外である証拠にはなりません。在籍年度が公表範囲に入っているかを確認してください。
参照元
- ▸福岡大学 - 本学が委託する筆記試験対策サイトへの不正アクセスについて(報告とお詫び)(公式・2026年7月9日)
- ▸同志社大学キャリアセンター - 【重要】筆記試験対策ポータルに関するシステム障害および情報漏えいの可能性について(公式・2026年8月19日更新)
- ▸株式会社ノストラム - 弊社サーバーへのランサムウェア感染による学習支援サービス停止について(お詫び)(公式・2026年5月8日)
- ▸ScanNetSecurity - 福岡大学の委託先ノストラムに不正アクセス、攻撃者のサイト上に窃取したデータを公開する旨の告知(2026年7月27日)
- ▸ScanNetSecurity - ノストラムにランサムウェア攻撃、学習支援サービスも停止(2026年5月21日)
- ▸Security NEXT - 委託先の就職試験対策サイトがランサムウェア被害 - 福岡大
- ▸SMART SPI 各アドレスの応答状態、および攻撃者側サイトの掲載状況(2026年8月24日、筆者確認)。掲載の有無とファイル一覧のみ確認し、データ本体は取得していません。掲載先の所在・アドレス・連絡先は記載しません
- ▸カバー画像:そらみみ 撮影・CC BY-SA 4.0(字幕を加える改変あり。本カバー画像も同ライセンス)

堀川 慎
Backend Engineer / AWS / Django / Go