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Switch 2が減産された。600万台から400万台に、任天堂に何が起きているのか

Bloombergが報道。Nintendo Switch 2の生産が600万台から400万台に削減された。米国ホリデー商戦の不振と450ドルの価格設定が原因。在庫・関税・今後の見通しを整理

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2026.03.266 min7 views

Bloombergが3月24日に報じたところによると、任天堂はNintendo Switch 2の生産計画を大幅に縮小しました。当初この四半期に600万台を作る予定だったものが、400万台に削減されています。33%を超えるカットです。4月以降も同水準の減産が続く見通しだと、匿名の関係者が明かしています。

任天堂はこの報道に対して公式コメントを出していません。

生産計画が600万台から400万台に削減された

報じたのは、Bloomberg東京駐在の望月崇(Takashi Mochizuki)記者です。任天堂・ゲーム業界の取材で知られるジャーナリストで、「数字が非公開であることを理由に匿名を希望した関係者」をソースとしています。

減産の規模は大きいですが、「全体の販売計画を大きく修正した」という話ではありません。あくまで今四半期(2026年1〜3月期)の生産台数の調整であり、年間の販売目標については言及されていません。

なぜ減産に至ったのか

最大の要因は、米国の2025年末商戦が期待を大幅に下回ったことです。

米国のハードウェア売上は11月時点で「1995年以来最悪」とされています。Switch 2は2025年6月の発売直後こそ爆発的に売れましたが、年末にかけて勢いが鈍化しました。初代Switchの同時期と比べると、ホリデーシーズンの販売は35%減でした。

原因として指摘されているのは3つあります。

1つ目は449.99ドル(約6万7000円)という価格です。初代Switchは299.99ドルでした。50%高い価格設定が、特に家族向けの購入をためらわせたと見られています。

2つ目はソフトウェアの弱さです。年末商戦の目玉として期待された『メトロイドプライム4: Beyond』は、12月の米国販売が100万本未満と振るいませんでした。Switch 2を買う決定的な理由となるタイトルが不足していたのです。

3つ目は関税の不透明さです。これは直接の原因ではありませんが、米国の関税政策が先行きを読みにくくし、消費者心理に影響した可能性があります。Bloomberg報道では「部品不足は減産の原因ではない」と明記されており、あくまで需要側の問題です。

Switch 2はどれくらい売れているのか

減産と聞くと「売れていないのか」と思われがちですが、数字を見ると話はそう単純ではありません。

指標初代Switch(2017年)Switch 2(2025年)
発売時の価格299.99ドル
(約3万5000円)
449.99ドル
(約6万7000円)
発売直後の販売初月約200万台4日間で350万台
(過去最速)
9ヶ月時点の累計(基準)初代比で45%先行
ホリデー商戦好調初代比で35%減
累計出荷(参考)1億5537万台
(2025年12月時点)
1737万台
(2025年12月時点)

累計では初代を大幅に上回るペースで売れています。問題は、ホリデーシーズンに失速したことです。年末商戦はゲーム機にとって1年で最も重要な時期であり、ここでの不振が減産判断に直結しました。

任天堂は米国政府を訴えている

Switch 2の販売環境を複雑にしているのが、トランプ政権の関税政策です。

現在、日本から米国への輸出には24%の「相互関税」が課されています。任天堂の製造拠点があるベトナムからは46%です。中国製ゲーム機にはさらに高い関税がかかり、中国の米国向けゲーム機輸出シェアは2024年の86%から5%未満に激減しました。代わりにベトナムからの月間輸出額は3000万ドル未満から4億ドル超に急増しています。

任天堂は2026年3月、米国国際通商裁判所に提訴しました。財務省・国土安全保障省・USTRを相手取り、「IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税は違法に課された」として、支払い済み関税の利息付き返還を求めています。2025年2月の最高裁判決を法的根拠としています。

ただし、トランプ政権は別の法的権限で関税を再構築中であり、この訴訟がすぐに関税の撤廃につながるわけではありません。

日本の予約は220万人が殺到した

米国での減速とは対照的に、日本市場ではSwitch 2は依然として品薄状態です。

My Nintendo Storeでは約220万人が購入を申し込み、任天堂が「事前準備にもかかわらず需要に応えきれない」と謝罪する事態になりました。実店舗では抽選販売が続いています。

米国でも予約開始時にはWalmart・Target・Best Buyのサイトがアクセス集中でダウンし、数分で在庫が消えました。初期需要は非常に強かったのです。しかし、その後の「リピート購入」や「様子見層」の動きが鈍く、ホリデー商戦で伸びなかったというのが今回の減産の背景です。

アナリストは「2000万台は達成できる」と見ている

減産報道を受けて、任天堂の株価は東京市場で最大6.3%下落しました。年初来では15.2%、2025年夏のピークからは約39%の下落です。

Asymmetric Advisorsのストラテジスト、Amir Anvarzadeh氏は「初年度のホリデーシーズンでのハードウェア不振はひどいニュースだ」とコメントしつつ、「ポケモンがようやく希望を見せた」と直近のソフト売上に言及しています。また、2026年11月に発売予定の『GTA VI』が任天堂にとって厳しい競争環境をもたらすと警告しています。

一方で、ウォール街のコンセンサスは「今会計年度の約2000万台という販売予測の達成には影響しない」というものです。今回の減産はあくまで四半期単位の生産調整であり、年間計画の根本的な見直しではないという見方が主流です。

Switch 2は発売直後に記録的な販売を見せた一方で、449.99ドルという価格と年末商戦の失速という課題を抱えています。任天堂が沈黙を保っている以上、次の決算発表でどのような数字が出るかが焦点になります。

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